バイデン氏「ワクチン公開接種」コロナ禍軽視、転換なるか 

 【ワシントン田中伸幸】来年1月20日に就任するバイデン次期米大統領にとって、世界最悪の感染被害が続く国内の新型コロナウイルス対策が最優先課題となる。21日には自らワクチンを公開接種し、効果や安全性を不安視する国民に積極的な接種を呼び掛ける予定。通常であれば盛大に行われる就任式も参列者を大幅に制限し、感染拡大防止に全力で取り組む。ただトランプ大統領がコロナ禍を軽視し続けた影響は大きく、国民全体に浸透するかは不透明だ。

 「マスク着用とワクチン接種で、来年のクリスマスはほぼ通常に戻るだろう」。バイデン氏は17~18日に放送されたCBSテレビのトークショーでこう強調。感染が再び急拡大する中、今年は家族ばらばらでクリスマスを迎えざるを得ない国民の不安や不満を解消する決意を示した。

 1月20日の就任式当日には、国民に100日間マスクを着用するよう呼び掛けると宣言。トランプ政権下で対策チームの中心だった国立アレルギー感染症研究所長のファウチ氏を新政権でも重用するなど矢継ぎ早に対策を打ち出す。

 就任式に全米から大勢が駆け付ければ感染拡大の恐れがあるため、一連のイベントはオンライン中心になる見通し。実行委員会は国民に「自宅から参加してほしい」と要請した。就任後の各国首脳との会談も「大半がオンラインになり、対面式はごく一部に限られるのではないか」(外交筋)との観測が広がる。

 コロナ対策は経済再生の行方を大きく左右するだけに、早期収束が最重要課題となる。その鍵を握るワクチン接種は今月から始まったが、ロイター通信などによる直近の調査では、接種に「前向き」と回答したのは6割程度にとどまり、安全性を懸念して当面は接種を見送る国民は少なくないとみられる。

 特にトランプ氏を支持する保守層の一部には、コロナ禍を軽視する風潮が根強く「コロナが死因ではない人が、コロナの死者に含まれているとの指摘がある」(中西部の元市長)といった意見が相次ぐ。

 ワクチンの信頼性に懐疑的な見方が広がる中、トランプ政権は18日、対策チームを率いるペンス副大統領がワクチン接種の様子を公開し、安全性をアピール。バイデン氏も前述のトークショーで珍しく、ワクチン開発を急がせたトランプ氏の実績を評価した。

 ただ保守層がこうした訴えを受け入れる保証はなく、コロナ禍の早期収束を図りたい新政権にとって大きな足かせとなりそうだ。

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