日中韓首脳会談、年内見送り 出口見えぬ元徴用工問題

西日本新聞 総合面 池田 郷 古川 幸太郎

 【ソウル池田郷】日中韓3カ国の首脳会談は、年内開催が見送られる見通しとなった。今年の議長国・韓国は年内開催に意欲的だったが、元徴用工訴訟を巡って対立する日本が菅義偉首相の訪韓に難色を示していた。文在寅(ムンジェイン)政権は同盟国を重視する米国のバイデン次期政権の外交方針を踏まえて日韓関係改善を模索しているものの、日本側が求める抜本的な解決策を打ち出すまでに至っていない。

 前回の日中韓首脳会談は昨年12月、中国・成都で開かれ、当時の安倍晋三首相と文氏が約1年3カ月ぶりに会談した。9月に就任した菅氏と文氏は電話会談はしたが、対面での会談はまだ実現していない。

 会談の年内開催に向けて韓国側は、元徴用工問題を巡って原告への賠償を韓国政府が一時的に肩代わりする案などを菅政権に水面下で打診。11月に朴智元(パクチウォン)・国家情報院長が訪日し、菅氏に日韓首脳による「共同宣言」を提案した。韓日議連の金振杓(キムジンピョ)会長も同月、菅氏に会談の年内開催への協力を要請した。

 一連の動きは、日本や韓国との同盟関係を重視するバイデン政権の発足前に、関係改善に前向きな姿勢をアピールする一方、日本側が消極的と印象づける狙いがある。南北関係の進展をレガシー(政治的遺産)としたい文政権には、来夏の東京五輪・パラリンピックをきっかけに北朝鮮との対話ムードを醸成したい思惑もある。

 ただ、日本側は元徴用工問題は1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場を堅持。韓国側の提案は被告の日本企業に金銭的負担を求める案にとどまっており、日本外交筋は「韓国政府は日本の立場をまだ理解していない」と不満を漏らす。

 日本側は、日本企業の韓国内資産が現金化されれば「深刻な事態を招く」と韓国側に警告する。新たな懸念材料として来年1月に韓国の元従軍慰安婦らが日本政府に損害賠償を求める2件の訴訟判決があり、原告勝訴となればさらなる関係悪化に発展しかねない。

 韓国は来年4月にソウルと釜山の二大都市で市長選があり、2022年3月には次期大統領選がある。日本も来年9月に自民党総裁選、同10月に衆院議員の任期満了を控えており、両国ともに政治的な妥協は難しく、対立の長期化は避けられそうにない。

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