会計検査院報告 コロナ下の「無駄」許すな

 会計検査院が官庁や政府出資法人を対象に調べた2019年度の決算検査報告を菅義偉首相に提出した。それによると、税金の無駄遣いや制度の改善を指摘したのは248件で、総額は297億円余だった。

 件数、金額とも過去10年で最少だったというが、お役所仕事の無駄遣いが激減したわけではない。新型コロナウイルスの感染拡大で、現場へ出向き帳簿などを調べる実地検査が大幅な縮小を余儀なくされたためだ。

 そうだとすれば、不十分な検査にもかかわらず、これほどの無駄遣いが判明した-と受け止めるべきだろう。コロナ禍のさなかにも貴重な税金が浪費され続ける実態は看過できない。

 具体例を挙げよう。京都大霊長類研究所(愛知県犬山市)のチンパンジー飼育施設工事を巡る研究費不正問題を調べたところ、新たに約6億円余の不正支出が判明した。これとは別に京大は約5億円の不正支出があったという調査結果を既に公表しており、検査院分を合わせると、不正総額は11億円を超える額に膨らんだ。

 検査院によれば、特定の業者に予算額を伝えて入札に参加させたり、契約を分割して少額にすることで一般競争入札を行わなかったりする手法で、不正な支払いをしていたという。

 理解に苦しむのは、検査院が指摘した不正を京大が把握していながら、内規には抵触しないという理由で公表していなかったことだ。学内調査の限界と世間には通用しない内規の問題が浮き彫りになったといえよう。

 また、中国からの黄砂対策として国が公益財団法人「日中友好会館」に57億円余を拠出し、日中両国の団体が現地で植林するはずだった事業は、実際には一度も実施されていなかった。

 検査院によると、この植林事業は日中両国があらかじめ共同で資金拠出することについて明確な合意がなく、事業の実施見通しが立たない段階で外務省が資金を拠出していたという。見通しの甘さとずさんな公金の支出には驚くばかりだ。

 これらは「氷山の一角」ではないか。会計検査院の実地検査が制約された今回は特にそんな疑いを強く抱かざるを得ない。

 無駄や不正を指摘された官庁や法人が即刻、是正に取り組むのはもちろん、他の行政組織も同様の問題を抱えていないか、改めて襟を正すべきだ。

 コロナ対策を大義名分として歳出圧力が強まり、国の予算はさらに膨張する可能性がある。ここは国会の行政監視機能が鋭く問われる局面でもあろう。

 私たちも納税者として、税金の無駄遣いはないか厳しく目を光らせたい。

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