「勇気ある投稿」「涙止まらない」コロナ禍の小6訴え、SNSで反響

西日本新聞 くらし面 小林 稔子 四宮 淳平

コロナ禍の子(9)疑問

 多くの学校で長期休校が明けた6月、西日本新聞に掲載された、ある投稿文が会員制交流サイト(SNS)を通じて瞬く間に拡散された。

 投稿したのは福岡県太宰府市の小学6年三小田陽(さんこだひなた)さん(12)。学校は再開したものの、運動会やプールなどの行事はなく、友達とは距離を保ち、詰め込み授業をする-。コロナ禍で感じた不自由な生活を「おとなに聞いてほしい」という文章にまとめた。

6月25日付西日本新聞朝刊に掲載された三小田陽さんの投稿文

 「勇気ある投稿に心動かされた」「胸が苦しくて涙が止まらない」「教育に携わる者はもっと子どもの声を聞かないといけない」

 そんなSNSでの反響を、三小田さんは両親を通じて聞いた。自分たちの思いが大人に無視されていると考えて書いた文章だっただけに「僕の意見を聞いてくれる人がいる。同じように感じている人がいる」とうれしくなった。

 「先生たちも知恵を絞って、どうしたらいいか考えていきます」。学校では、先生から直接声を掛けられた。その後、2泊3日で予定していた修学旅行は1泊2日に短縮されたものの実現するなど、少しずつ「子どもの声」が届くようになったと実感している。

 家庭ではよくニュースを見て、学校で友達と「どう思う?」と話題にする。そんな視点で学校生活を見てみると、疑問に思う出来事は投稿に書いたこと以外にもある。

 休校中は、にわかに学校はオンライン化に踏み込んだけれど、再開後はピタッと止まった。ぜんそくがある友達の「コロナに感染するのが怖い」という言葉を聞くと、一斉に集まらなくて済むオンライン授業は日常的にやってほしい。

 数人の友達と話している時に「密! しゃべらない」と注意されたこともある。でも先生の本音はどこにあるのだろう。

 「本当は友達同士で触れ合わせたいけれど、今はコロナがあるから我慢してほしい。先生も、大人だってつらいよ-」。もし、そう思っているのなら、正直に言ってくれた方が思いは伝え合えるのに。

 「大人ってパニックになると冷静な判断ができないんだ」。福岡市早良区の西南学院小5年の土橋さやかさん(10)は、マスクやアルコール消毒液の買いだめを冷ややかに見ていた。

 真っ先に思い浮かんだのは、マスクが欠かせない医療機関や高齢者施設のこと。一部の人が買い占めた結果、命を左右する現場に届かなくなった。「自分だけよければいいのかなぁ」

 日頃から世の中の動きに関心を向けていると、政府の政策にも疑問が浮かぶ。

 安倍晋三首相(当時)による全国一斉の休校要請もその一つ。感染確認された人が少なかったり、ゼロだったりする地域も含まれていた。「私は学校に行きたかったのに」

 その後に始まった「GoToキャンペーン」。地域によっては感染拡大の要因になった事業にも思える。原資は税金。生活に余裕がなく、キャンペーンの恩恵を受けることができない人にとっては、こうした税金の使われ方が「とてもイヤなことじゃないかな」と想像する。

 学校で大好きなのは、友達とのおしゃべり。コロナで話しにくくなりストレスがたまる一方、改善された面もあると感じる。

 授業中の発表で、以前は「そこまで必要だろうか」と思えるような大きな声が求められる場面が多かった。だけど、クラスには声の小さい子もいて、それだけで手を挙げる気力を失っているように思っていた。

 マスクをしている今は大きな声は要求されず、静かに挙手をすればいい。発表も、クラス内の全員が聞こえるような声を出さなくても、先生がホワイトボードに発言内容を記し、全員に見せてくれる。声の小さい子が積極的に発表できるようになってきた。

 依然として不自由なことが多いコロナ禍の生活でも、前向きさは失わない。「いいと思えることも、すこーしはあったかな」 (小林稔子、四宮淳平)

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