「ウィズ・コロナ」あり得ない コロナ禍を生きる障害者たち 写真ルポ

西日本新聞 帖地 洸平

 コロナ禍の混迷が深まるばかりの2020年が暮れようとしている。すべての人にとって生活様式が根本から変わったこの一年。感染拡大でより厳しい立場に立たされた障害者たちは、この変化をどう受け止め、日々を送っているか。耳を澄ませると、切実な声が漏れ聞こえてきた。

 「仕事をしていると、社会とつながっていると実感できた。本当はもっと、仕事も生活もステップアップしたかったのに。一人前になりたかった」

 福岡市博多区の男性(29)はそう切り出すと悔しそうに唇をかんだ。10月下旬、3年間勤めた衣類品を取り扱う会社を解雇された。コロナ禍による経営悪化が原因だ。やっと仕事にも慣れ、社会との“接点”として生きがいを感じてきただけにショックは大きかった。

 知的障害のある男性にとって、再就職の道のりは険しい。就労移行支援事業所で訓練に励む日々。失業保険を申請し、貯金を切り崩しての生活。「先は見通せないけれど、これまでもできることを見つけて生きてきた。だからきっと大丈夫」。自分に言い聞かせるように話した。

 広汎性発達障害のある同市西区の男性(42)は仕事を失う危機感を口にした。自動車部品の検品業務を担当しているが、今年は業務の外注も増えた。「焦りは例年とは比べものにならない。このまま(感染症が)終息しなければ…」。年度末の契約更新を前に、不安が頭から離れない。

   ◇   ◇

 脳性まひによる四肢体幹機能障害のある同市博多区の浜田征史さん(39)にとって、複雑な心境を抱くのが「ウィズ・コロナ」というフレーズだ。地域経済の重要性は理解できる。ただ、ウイルスとの“共存”のかけ声に応じた観光地や街角のにぎわいの話を聞くたびに恐怖が頭をよぎる。「障害のある人にとって“共存”は常に命の危険と隣り合わせ。とても受け入れられない」と明かした。

 浜田さんは独り暮らし。手脚は自由が利かず、24時間介護のヘルパーが欠かせない。しかし、感染拡大に伴う外出自粛などが影響して各地でヘルパーが不足。もし自宅で発作があれば1人で対処できないため、外出を控えるべき緊急事態宣言中も、電動車いす就労支援事業所に通わざるをえなかった。「重症化リスクを思うと外出は怖い。でも、仕方がなかった」

 厚生労働省によると今年1~10月、全国で解雇された障害者は前年同期より約2割増の1964人。倒産増に加え、テレワークの普及で職場が減ったことも背景にあるという。日本障害者協議会の藤井克徳代表は「世の中が不安定になると社会的弱者に痛みが向かう。どうやって痛みを分かち、寄り添うか。一人一人が問われている」と話した。

(帖地洸平)

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