音楽劇「ハンナのかばん」の公演(2021年1月)に向けて稽古に励む劇団文化座(東京)の俳優たち。オンラインでこども記者のインタビューに応じ、せりふを覚えるコツや俳優という夢をかなえるまでの道のりなどを語った。(取材の模様はこちら)
★(西田美咲記者)「ハンナのかばん」という話を聞いてどう思いましたか?
☆(ハンナ役/市川千紘さん)ハンナにはいっぱい夢があって、好きなお友達や遊びもあった。だけど、何の罪もないのに大人たちに翻弄された。かわいそうだし、悲しいなと思うこともいっぱいある。でも、ハンナはすごい元気な子なんだと思うと、幸せな気持ちになる。
★(樋口空良記者)出演が決まった時、実際にホロコーストの収容所に行くなどして調べましたか?
☆(ハンナの兄役/斉藤直樹さん)海外の収容所に行ったことはないけれど、広島県にあるホロコースト記念館に行った。夜行バスで11時間かけて往復し、歴史を勉強した。
こども記者の取材に答える劇団文化座の俳優たち(左)
★(西田美咲記者)どうやって音楽劇のテーマを決めましたか?
☆(石岡フミコ役/姫地実加さん)アウシュビッツの話の劇では、とても悲しい事実が出てくる。それを美しい音楽に乗せて、やわらかく見ている人に伝えようと思い、音楽劇にすることにした。
★(西原実優希記者)昔の人の気持ちや感情を表現するためにしていることは?
☆(お父さん役/白幡大介さん)国と時代は違っても、人間の感情はそんなに大きくは違わないと思います。おかしいときは笑うし、くそっと思ったら怒る。だから、(自分の演じている人物が)何に対して怒っているのか、うれしいのか、ちゃんと時代背景をとらえて、役に落としている。
★(野口明香里記者)いつから俳優を目指しましたか?
☆(松永佳子さん)高校時代演劇部で舞台に立つ楽しさを知って、ずっとお芝居を続けていきたいと思った。
☆(砂川直哉さん)高校のころから。映画やアニメが好きで自分もやりたいなと思った。途中で会社に就職もしたけれど、最終的にこっちの道に進むことにした。
☆(中田千尋さん)高校で演劇部に入っていたころに文化座の舞台を見て、ここでお芝居できたら楽しいだろうなと思った。その後、短期大学で2年間演劇を専門に学んだ。
東京の稽古場でこども記者の取材に答える劇団文化座の俳優たち
★(立川日彩記者)俳優になりたいと思ってから劇団に入るまでにしたことは?
☆(砂川さん)最初は会社員をしていたけど、俳優をやりたいと思った。そこで、別の劇団の養成所で2年間みっちり勉強し、文化座に加わった。
☆(神﨑七重さん)目指したのは14、15歳のとき。オーディションを受けたり、小劇団に入ったりしていた。おととしから演劇の研究所に入って勉強をして、その後に文化座に入った。
☆(姫地さん)大学院の工学部化学生物工学科の大学院に入り、顕微鏡をのぞきながら「やりたいこと、これじゃない。お芝居がやりたい」と思った。大学院を卒業後、新聞配達をしながら俳優養成所に行って、26歳のときに文化座に入った。
★(平川千野記者)演劇をするときに何を考え、大切にしていますか?
☆(井田雄大さん)自分の感情をしっかりお客さんに伝えること。お客さんに伝わらないとやっている意味がないので、お客さん目線を大事にしています。
カメラの前で台詞を言う俳優たち。こども記者たち(上)が画面越しに見ている
★(河原綾音記者)学校で放送委員をしている。せりふの順序などを覚えるときに気をつけていることは?
☆(深沢樹さん)ストーリーの進み方、どういう感情があるからこのせりふが出てくるのか、頭にたたき込んで覚えるようにしている。
★(野口記者)役になりきるためのコツを教えてください。
☆(姫地さん)架空の人物の場合は自分で生年月日を作ったり、好きな食べ物を決めたり、お父さんとお母さんがどういう人で、血液型が何なのかなど、全部緻密に積み上げ、なるべくその人に近づこうとしている。
★(梅野陽向記者)今度、タイムワープをテーマにした劇をする。例えば、「どうやって行けばいいの?」というせりふを上手に言うコツは?
☆(俳優さんたち)自分が質問するときを思い浮かべてみて。自分が誰かに聞くときの言い方に近づけていくといいと思う。あとは、どれくらいそこに行きたいのか。行きたくないけど聞くのか、すっごく行きたくて聞くのか。シチュエーションを考えてみて。
早口言葉を見せてくれた俳優さん(右)。こども記者もカメラの前で挑戦した
★(西田仁胡記者)劇で使う道具や衣装は劇団で作っているんですか?
☆(姫地さん)大道具担当の人が作るものもあるけれど、小道具や衣装はなければ自分たちで作ったりしている。借りたり、買ったりすることもある。
★(前田袈乃記者)私はバレエを習っていて表現力を大事にしています。劇団のみなさんも大事にしていますか?
☆(市川さん)舞台の上でのやりとりをお客さんが目で見て、耳で聞いて感じる情報がたくさんある。自分が思っている役の気持ちを表に出すためにも、表現力はとっても大事です。
★(立川記者)新型コロナで公演が中止になり、改めて気づいたことがあれば教えてください。
☆(松永さん)私たちのお仕事は、お客さんがいないとできないということをすごく感じた。来てくださるお客様のありがたさ、見ていただけるうれしさをより強く感じた。「ハンナのかばん」もできるだけ多くの方に見てもらい、その間だけでもコロナのことを忘れてほしい。
★(下村美沙記者)劇団の仲間と仲良くなるためにしていることは?
☆(白幡さん)みんなでお酒を飲んで、おいしいご飯を食べに行きます。今はコロナで行けないけれど…。先輩後輩でも忌憚なく意見を言えることが大事だと思う。