ふん害越冬カラスと知恵比べ 偽の鳴き声、光照射…熊本市が撃退作戦

西日本新聞 熊本版 長田 健吾

 熊本市の中心市街地でここ数年、越冬のために訪れるカラスの「ふん害」が深刻だ。歩道や花壇、駐車場に止められた車のフロントガラス。おびただしい白いふんに、市民は頭を痛めている。市は大学や民間企業の協力を得て、特殊な装置でカラスを追い払う実証試験を始めた。

 12月の夕暮れ時、同市中央区花畑町周辺では、上空を大量のカラスが飛び回っていた。日が沈むと電線や信号、歩道橋の手すりにとまり、所構わずふんを落とす。

 市鳥獣対策室によると、これらのカラスは中国大陸北東部から越冬のために飛来する「ミヤマガラス」。毎年10月~翌2月、市内に滞在。日中は郊外の田畑で餌を食べ、夕方になると、市街地にやってくる。市が昨年度実施した調査では約3千~6千羽のカラスが確認された。

 以前は郊外の山中をねぐらにしていたが、2年ほど前から花畑公園のクスノキに移動した。詳しい原因は不明だが、市の担当者は天敵の猛禽(もうきん)類が少ないことを理由に挙げる。近年は「服にふんが落ちてきた」「道路も汚い」などの苦情も多いという。

 市は12月10日からカラスを追い払う実証試験に乗り出した。タッグを組んだのは、カラスの生態を研究している佐賀大の徳田誠准教授(農学)と、全国で活動を展開するカラス対策専門会社「CrowLab(クロウラボ)」だ。

 この日午後6時すぎ、一行は花畑公園へ。同社の塚原直樹代表が取り出したのは、一見すると普通の拡声器。スイッチを押すと、「カーカー」「ガーガー」と複数のカラスの鳴き声が聞こえ始めた。するとクスノキに止まっていた大量のカラスが飛び立った。

 塚原さんによると、この音声はカラス同士が仲間に警戒を促す声や、群れが混乱している時に発する声などを独自に組み合わせたもの。「本物に近づくように、群れが外敵に襲われたストーリー仕立てで作った」と塚原さん。

 次に、強い光を放つLEDライトを照射した。市民会館前のケヤキにライトを当てると、こちらのカラスも光に驚いた様子で飛び立った。

 大成功に見えるが、塚原さんと徳田さんは「想定通り」といたって冷静だ。カラスは学習能力が高いため、偽の鳴き声やライトといった人間側の“作戦”を見破るかもしれないという。

 実証試験は来年1月末までほぼ毎日行われる。人間とカラスの知恵比べ、勝つのはどっち? (長田健吾)

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