国内最古の分銅を確認 朝鮮と共通規格で交易か  春日・須玖遺跡群

西日本新聞 社会面 小川 祥平 西村 百合恵

 古代中国の史書「魏志倭人伝」に登場する「奴国(なこく)」の王都とされる須玖(すぐ)遺跡群(福岡県春日市)で出土していた石製品8点が、てんびん用の分銅とみられることが分かった。うち1点は弥生時代中期前半(紀元前2世紀ごろ)のもので国内最古となる。重さの規格も朝鮮半島の分銅と共通し、識者は「当時から国際規格の計量法が国内で使われていたことを示す貴重な資料だ」とする。

 同市教育委員会によると、石製品は1990~2014年度に須玖遺跡群北部の3遺跡から発掘された。当初は砥石(といし)、石斧(せきふ)と考えられていたが、武末純一・福岡大名誉教授(考古学)が分析し、重さの規則性や重ねやすいようにした加工跡などから古代の分銅「権(けん)」と結論づけた。

 8点の大半は、周囲の土器から弥生時代中期前半-後半の分銅。うち1点(約69グラム)が紀元前2世紀ごろと分かった。欠損が少ない6点は、韓国の茶戸里(たほり)遺跡出土の青銅製権(紀元前1世紀、約11グラム)の3倍、6倍、20倍、30倍の重量で「朝鮮半島と共通の規格が使われていた可能性が高い」(市教委)という。須玖遺跡群には青銅器の生産工房があり、分銅は原材料の計量のほか交易にも用いられたとみている。

 同じ規格の分銅はこれまで石川県の八日市地方(じかた)遺跡で出土。大阪府の亀井遺跡では、日本独自規格の分銅も確認されている。ともに弥生時代中期後半-後期の分銅で、古くとも紀元前1世紀ごろまでしかさかのぼれなかった。今回の確認は、それ以前から半島と共通の計量法が九州に伝わっていたことを示す。武末名誉教授は「朝鮮半島との間で、物々交換ではなく国際規格に基づくはかりを用いた経済活動が行われていた。当時の東アジア交易を考える上でも重要だ」と指摘している。権8点は来年1月5日~2月14日、「奴国の丘歴史資料館」(春日市)で展示する予定。 (小川祥平、西村百合恵)

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