協働で挑む人口減対策 九大移転効果に差

回顧2020 都市圏(4)

 九州大の伊都キャンパスへの統合移転に伴い、福岡市西区のキャンパス周辺は、マンションや大型商業施設が立ち並び、かつての田園地帯から大きく変貌を遂げた。だが、人口が急増し活況に沸くのは九大学研都市駅などのJR筑肥線沿線ばかり。移転完了から2年余りが過ぎたが、沿線から離れているために、キャンパス周辺でも九大の移転効果が及ばない地域がある。

 糸島半島北端にある北崎地区はその一つだ。若い世代が移住してくる沿線とは対照的に、少子高齢化に歯止めがかからない。20年前に約3100人だった人口は現在、約2200人に減少。65歳以上が占める割合は約42%に上る。

 「都市と自然が近接するコンパクトシティ」が魅力の福岡市。だが、恵まれた自然を誇りながらも、北崎は人口減で地域コミュニティーの維持が困難になろうとしている。状況が深刻化するのを食い止めるため、新住民の定住化を促す基盤づくりが動きだしている。

 本年度、事業化されたのが光回線の整備。あって当たり前のインフラになっているが、北崎は離島以外では市内で唯一、利用できない地域だ。北崎校区自治協議会が通信事業者に嘆願書を出し、整備を要望したが、多額の投資が必要で、なかなか実現しなかった。

 この事態を打開したのは自治協の粘り強い訴えだった。「移住者を増やすには光回線は不可欠」。市に支援を求め、その熱意が伝わり、事業者に対する補助金が予算化された。本年度内に整備完了の予定だ。

 移住が進まない理由に北崎が市街化調整区域になっている点も挙げられる。無計画な市街地拡大を防ぐため、開発が制限されている。ただ、市は条例の一部を改正し、新住民でも区域内に家が建てられる新制度を設けている。北崎でも地元住民の合意を受け、この制度を適用した地域がある。

 地域の特性を大切にしながら課題解決へと動く住民と、それを支える行政。役割と責任を認識し、ともに汗を流して生み出していく協働の成果を、これからもウオッチしていきたい。 (福岡西支局・下村佳史)

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