国会、国民軽視許されない 憲政史に残る汚点だ

 時の宰相が自身の主催する公的行事に便乗し、地元有権者への「接待」を繰り返していた-。「桜を見る会」前日の夕食会費用補填問題が浮き彫りにした事実の核心は、そういうことではないか。不起訴とはいえ、首相経験者が民主主義をゆがめた疑惑で検察当局の聴取を受けた。国会で「虚偽答弁」も重ねた。憲政史に重大な汚点を残した安倍晋三前首相は、議員辞職に値する。

 安倍氏の記者会見は「人ごと」のようだった。費用補填を「知らなかった」と強調したが、自身の行動を悔いているように見えなかった。野党が再三指摘していたように、ホテルに明細書を請求していれば、真相はすぐに判明したはずなのに、それをしなかったことへの合理的な説明もなかった。

 桜を見る会の追及が国会で始まったのは昨年11月。安倍氏は「総理大臣としての答弁は全ての発言が責任を伴う」と言い切った。思い起こせば森友学園問題でも、安倍氏は自身や妻が関与していたら「間違いなく総理大臣も国会議員も辞める」と言い放った。都合の悪い事実が出ると、財務省は決裁文書を改ざん。そして今回は秘書が安倍氏に事実を告げなかったとされる。安倍政権は周辺の「忖度(そんたく)」で永らえたのだ。

 「(国会で)どう答弁し、どこまで隠すか。長期政権の『極意』だよ」。安倍氏の首相在任中、側近の官邸幹部は私に耳打ちした。召集要求の無視、審議打ち切り、野党へのやじ…。費用補填を巡る虚偽答弁だけではない。国会を「野党のパフォーマンス」と軽んじる深刻な勘違い。それは菅義偉政権にも引き継がれていると感じる。

 安倍氏は25日、国会でこれまでの答弁の経緯を説明する。今度こそ真摯に向き合うべきだ。歴代最長政権を築いた首相経験者としてこれ以上、国会と国民を軽んじることは許されない。 (首相官邸キャップ・湯之前八州)

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