訃報を準備する悩み

西日本新聞 社会面 内門 博

 昔見たザ・ドリフターズのコントがある。いまわの際の病人を囲む家族に、葬儀業の男が交じる。一緒に涙ぐむそぶりを見せながら棺おけ用にこっそり病人の体格を測ろうとする姿がコミカルだった。

 文化担当記者はスクープ合戦は少なく、他分野の担当記者にうらやましがられるが、訃報だけは違う。著名な文化人が死去した際の紙面展開で、他紙に後れを取るわけにはいかない。だから、大変失礼な話なのだが、万一の場合にどんな原稿を出すのか、ある程度の準備を迫られる。

 さらに、担当デスクとして頭を悩ますのは価値判断。死者を格付けできるのか?と自問しつつも見出しの扱いはこう、行数は何行ぐらいと、紙面会議で説明する役割を担うことになる。今年も多くの訃報を伝えた。常に故人をしのび、功績や人となりを後世に伝える努力はしているつもりだ。だが、子供の頃のように、あの葬儀業の男を無邪気に笑えない。 (内門博)

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