安倍氏“復権戦略”に暗雲 「桜」再燃で謝罪 派閥復帰は不透明に

 「桜を見る会」前日の夕食会を巡る問題で「虚偽答弁」の謝罪に追い込まれた安倍晋三前首相。史上最長政権の突然の幕切れから3カ月が過ぎ、健康状態は徐々に回復し、政治活動も活発化。周囲からは「再々登板」の声が高まっていたが、自らの「政治とカネ」であえなく失墜した。自身の出身派閥を率いる“復権戦略”に暗雲が垂れ込めている。

 半年ぶりに国会の質疑に臨んだ安倍氏は25日、ひたすら反省の弁を繰り返した。終了後、記者団に「説明責任を果たすことができたのではないか」と強い自負心をのぞかせたが、疲労の色は濃く、口調も単調だった。

 持病の再発を理由に、安倍氏が首相を退任したのは9月16日。処方薬の効果もあって「体調は順調に回復」(安倍氏)。精力的な活動を見せていた。三度(みたび)、宰相の座への挑戦を促す声は歯牙にも掛けない一方で、自民党の最大派閥、細田派への復帰は「早ければ来春」と漏らすなど意欲を隠さなかった。

 11月16日には、来年の東京五輪・パラリンピック開催に向けて来日した国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長から「五輪オーダー」(功労章)を授与された。久々の表舞台で相好を崩し、完全復活を印象づけたかに見えた。

 だが、暗転はすぐに訪れる。第2次政権の最終盤に国会を揺るがした「桜」問題が再燃。東京地検特捜部による「安倍氏の公設秘書任意聴取」が11月下旬に報じられ、活動を自重。細田派関係者は「動きが少し目立ちすぎたのかもしれない」と悔やむ。

 退任後の安倍氏を巡っては、盟友の麻生太郎副総理兼財務相や岸田文雄前政調会長が、今後の政局を見据え、それぞれ接触して秋波を送っていた。安倍氏としても、最大派閥を引き継ぎ、主流派のかじ取りと影響力の維持を狙う上で、2人は「有効なカード」(自民関係者)となる存在。逆に、菅義偉首相や後見役でもある二階俊博幹事長からすれば「やっかいな連携」(政府関係者)との見方もあった。

 安倍氏は24日の記者会見で、派閥復帰について「今のところ考えていない」と慎重な姿勢を示した。細田派の閣僚経験者は「しばらく、静かにしておいた方がいい」とトーンダウンしており、「安倍派待望論」は急速にしぼんでいる。 (河合仁志)

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