【動画あり】中国、EV普及へ「電池交換型」に注目 作業最短20秒 世界主導狙う

 【北京・坂本信博】中国政府が電気自動車(EV)普及の壁となる充電設備の整備を急ぐ中、バッテリーごと充電済みのものと交換する方式に注目が集まっている。交換時間は20秒~5分と短く、充電に時間がかかるEVの弱点を克服できるため、政府は交換用施設の整備も推進。中国がEV普及を主導し「自動車強国」を実現する狙いもうかがえる。

 北京市内にある新興EVメーカー・上海蔚来汽車(NIO)のバッテリー交換施設。ピットにEVが入ると車両がゆっくり持ち上がり、車体底部のバッテリーを機械が自動で交換した。充電スタンドの急速充電なら1時間かかるが、約5分で作業が終わった。

 同社は今夏、車体だけ販売してバッテリーはリースするプランを発表した。約30万~50万元(約475万~790万円)のEVが7万元(約110万円)安くなり、月額980元(約1万5500円)で月6回までバッテリーを交換。月に2千キロは走れる計算で、7回目以降は1回約100元(約1580円)で交換できる。

 同社の交換施設は北京に15カ所あり、北京-香港間も200キロごとに整備済み。担当者は「来年は北京に50カ所、全国で380カ所増やす。バッテリー劣化の心配もいらない。今後はバッテリー交換方式EVが主流になる」と力を込めた。

 2060年までに脱炭素社会実現を目指す中国政府は、11月に発表した21~35年の新エネルギー車産業発展計画で、新車販売に占める新エネ車の割合を25年までに現在の約5%から20%前後に引き上げ、35年にはEVを新車販売の主流とすると表明。EV普及へ「充電・バッテリー交換施設の整備を加速し、バッテリー交換方式の応用を奨励する」との方針を打ち出した。

 中国メディアによると、新エネ車メーカーの北汽新能源汽車も全国に200カ所超の交換施設を建設。重慶市では、市政府の支援で中心市街地の半径1キロごとに交換施設の整備が進む。11月に広東省広州市で開かれた「広州国際モーターショー」では、約20秒でバッテリーを交換できる新システムが注目を集めた。

 今後の課題は交換用バッテリーの規格共通化。規格がメーカーで異なると施設の乱立や不足を招きかねない。工業・情報化省は企業側に規格共通化を促し、北京や海南省で実証実験を支援する考えだ。業界関係者は「規格共通化には自動車やバッテリー業界など多方面の協力が必要」と話す。

 日本を含む各国も二酸化炭素(CO2)排出削減に向けて新エネ車普及を進めている。世界最大の自動車市場の中国でバッテリー交換方式の規格が共通化されれば、自動車産業や蓄電池業界に追随の動きが広がり、各国のEVの仕様や生産に影響する可能性もある。

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