停電で給湯器が故障、50万円で買い替えた 補償を求め連絡を取ると…

 「停電で給湯器が故障して使えなくなり、買い替えざるを得なかった。補償はしてもらえるのか」。西日本新聞「あなたの特命取材班」に、福岡県大野城市の男性から封書が届いた。まずは停電の原因を探ろうと九州電力に連絡を取った男性だが、原因企業として現れたのはレクリエーション施設だった。

 9月中旬、福岡県大野城市の一部地域で停電が発生した。九電によると、停電は午後7時ごろから約4分間、午後9時半前後のともに8分間の合計3回に及んだという。男性は「8回ぐらい、電気がついたり消えたりした」と振り返る。

 直後に男性宅の給湯器が故障した。メーカーの修理見積額は約30万円。十数年使ってきたので「修理しても、故障しやすいかもしれない」と説明され、約50万円で新しい機器を購入した。10月上旬に備え付けられるまで、水で体を洗うなど不自由を我慢した。

 給湯器の故障について、政府系研究機関の関係者は「家電は一般的に停電に耐えられるように作られているが、繰り返しの停電でコンデンサーが破損した可能性がある」と推察する。

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 停電によるトラブルが発生した場合、どこに相談すればいいのだろうか。

 九電福岡支店によると、一般家庭からの相談は、九電の子会社「九州電力送配電」の最寄りの配電事業所に連絡してほしい、とのこと。その際、停電情報や原因などについて説明するという。

 場合によっては、九電側が責任を負うこともある(自然災害の場合は免責)というが、「あくまでケース・バイ・ケースで対応する」と強調する。男性は故障後、九電にすぐ連絡したが「停電を招いた別の原因者がいる」として、九電は当初から直接の責任を否定。「故障の賠償はできない。企業側の了解が得られず名前は言えない」などと説明した。

 男性は改めて九電に、賠償や追加の説明を求める連絡を行った。その後、九電側から「停電証明」と書かれた書類が届いた。停電の原因として「他社による弊社設備への影響」とあり、原因者としてレクリエーション施設の連絡先が明記されていた。九電は「一般論として、できる限り迅速に要望に応じられるよう対応している」と説明する。

 男性は10月、施設側に賠償を求める連絡をした。12月になってようやく回答があったが「補償はできない」と言われたという。

 特命取材班も施設側に取材してみた。施設側は「(9月の)台風10号の影響で、敷地内で倒木があり、それが自社の電線に引っ掛かった。それが九電の設備にも影響を与え、停電を引き起こしたようだ」と説明。「自然災害が原因。故意に停電させたわけではないので、個別の補償は難しいと考えている」と答えた。

 施設側には同様の問い合わせが4、5件寄せられたという。自然災害に加え、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で来場者が減り、停電前から休業中であることも補償が難しい理由の一つとみられる。

 被害に遭った男性は「全額までは望んでいないが、少しでも補償が得られればと考えてきた。結局、諦めるしかないのか」と肩を落としている。(竹次稔)

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