舞台「岡部平太物語」 ”どげんかする!”が生き抜く力を導いた

回顧2020 都市圏(7)

 今夏の東京五輪開幕を糸島の地でも楽しみにしていた。糸島市出身で、日本スポーツの先駆者、岡部平太(1891~1966)を主人公にした舞台「PEACE HILL 天狗(てんぐ)と呼ばれた男~岡部平太物語」の“里帰り公演”もタイミングを合わせ、企画されていたからだ。

 岡部は柔道で頭角を現し、その強さから「天狗」と呼ばれた。米国留学で理論的なトレーニングを学んだが、国内では理解されずに旧満州へ。スポーツで国際交流を進めたのにもかかわらず、息子を戦争で失った。それでも諦めず、郷里の福岡でスポーツの聖地「平和台」を創設した。

 残念ながら、新型コロナウイルスの影響で、全国ほとんどの舞台やコンサート同様、夏の公演は延期に。9、10月、観客数を限定して福岡市や糸島市などでようやくお披露目された。

 脚本担当は「ギンギラ太陽’s」主宰の大塚ムネトさん(55)。本紙連載や原作の小説(橘京平著、幻冬舎刊)を読んだ大塚さんは、「劇団ショーマンシップ」座長の仲谷一志さん(55)に合同公演を持ち掛け、準備を進めてきた。

 大塚さんはコロナ禍で脚本を大きく手直しした。「岡部は戦争に立ち向かった。戦争という苦難には及ばないが、やりたいことができないという点はコロナ禍も同じ。そこに、今、岡部を演じる価値がある」との思いからだった。

 年の瀬の26、27日、糸島市内で無料での再演も実現。岡部の口癖は「どげんかなる!どげんかする!」。波瀾万丈の物語を現代に重ね合わせ「生きる意味」を問い掛けた。笑いあり、涙ありのエンターテインメントに昇華させて-。

 「戦争は終わった。だが苦しい時代は続く!」

 「まだ苦しいことが続くかもしれない。それでも前を向いて!」

 「新しい時代、われわれは手を取り合って進むんだ」

 「さあ、一緒に進もう」

 仲谷さんは舞台あいさつで「PEACE HILL2」への意気込みも語った。多くの市民が賛同の拍手を送った。

 (竹森太一)

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