「年を越せるか」「店が持たない」 客足戻らない北九州市の歓楽街

 年の瀬を迎え、例年酔客でにぎわう北九州・小倉の歓楽街が今年は閑散としている。新型コロナウイルスの影響で激減した客足は政府の「Go To イート」などで一時持ち直したが、「第3波」とされる感染の再拡大で振り出しに戻った。忘年会ムードは吹き飛び、飲食店主からは「店が持たない」「年を越せるか不安」と悲痛な声が相次ぐ。コロナ禍の経済対策は、来年1月末投開票の北九州市議選の論点となりそうだ。

 「お客さんはここ最近、1日1人か2人。多くても片手に収まりますよ」。同市小倉北区紺屋町で長年バーを経営する60代男性は自嘲気味に語った。

 春先の「第1波」では政府の緊急事態宣言、県の休業要請を受け、男性も4、5月に1カ月近く休業した。その後の「第2波」は全国に先駆けて北九州市を直撃。秋口から感染が落ち着き、客足が少しずつ戻り始めた直後に「第3波」に見舞われた。

 男性は夏にアルバイトの大学生4人を解雇。20人が入る客席は半分に減らし、カウンターやテーブルにアクリル板の間仕切りを設置した。県の「感染防止宣言ステッカー」も貼った。できる限りの感染対策はしたつもりだが、例年10件は入る忘年会の予約が、今年はゼロだ。

 「お得意さんに連絡しても『忘年会はできない』『会社の決まりだから』ばかり。仕方ないが、客が戻ってくる日まで店は持つだろうか…」。男性の表情は曇るばかりだ。

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 北九州・京築地区の約600の飲食業者でつくる県料飲業生活衛生組合連合会北九州支部によると、コロナ禍で廃業した加盟事業者は約20。ただ、「12月の売り上げで廃業を判断する店主が多いだろう」と、迎数代支部長は懸念する。

 北九州市は4月、県の休業要請などに応じた中小事業者に対し、40万円を上限に店舗賃料を補助する独自の経済支援策を打ち出し、飲食店の改装費への補助などもしてきた。市議選の立候補予定者からは「経済対策こそ一番の課題」(小倉北区の現職)と支援の充実を訴える声が少なくない。ただ市の財源は限られており、小倉南区の現職は「飲食店以外にも支援は必要。市独自で大きな経済対策は難しいだろう」と指摘する。

 小倉北区などで居酒屋を営む原光範さん(32)は4月、従業員への賃金や家賃の補償を求める陳情を市議会に提出した。「市議会が動くきっかけになれば」との思いからだった。陳情は継続審査が続いているが、市議の具体的な動きは見えてこない。市議選まで約1カ月。原さんは「市民の思いを代弁してくれる人に、市議になってほしい」と語った。

(山下航、岩谷瞬)

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