「ピンチをチャンスに」コロナ禍で試される天神ビッグバン

回顧2020 都市圏(8)

 九州最大の繁華街・天神が日々、姿を変え続けた1年。2月に商業施設「天神ビブレ」が営業を終了し、3月に「天神コア」が閉館。福岡ビルが解体されたなと気づいたら、その隣で建設中のガラス張りの高層ビル「天神ビジネスセンター」(天神BC、19階建て)が顔を出していた。

 天神BCは、福岡市の再開発促進事業「天神ビッグバン」の第1号案件で、来年9月の完成を予定。開発を手がける福岡地所は目下、リーシング(テナント誘致活動)を加速化させている。だが、今年前半は新型コロナウイルスの感染拡大が影響し苦戦していた。

 そこで、高島宗一郎市長は8月、コロナ対策を条件にしたビル建て替えの優遇措置を発表し、「感染症対応シティ」を打ち出した。「ピンチをチャンスに変える」。高島市長がたびたび強調した言葉だ。

 チャンスは訪れる。11月、通販大手のジャパネットたかたを傘下に持つジャパネットホールディングスが天神BCに東京オフィスの機能の大部分を移転すると発表。コロナ禍を機にした社員の働き方の見直しが理由だ。福岡地所関係者も「ジャパネットの発表以降、リーシングにいい風が吹いている」と自信を深める。

 建物の建て替えは見て取れるが、建物の外に目を向ければ、街の通りがどうなるのか、歩道がどう広がっていくのか、イメージがまだ付きにくい。

 国は歩行者優先の街づくりを目指す構想「ウォーカブル推進都市」を打ち出し、10月に福岡市も構想に賛同した。駅前や繁華街などで、空き地の活用や道路拡幅により遊歩道や広場を整備する事業などを想定。人が集まりやすいよう芝生での緑地化も支援する。

 高島市長は今月22日の定例記者会見で「来年、(入居企業を)もう数社発表できる」との見通しを示し、「生まれ変わる街の絵図がソフト面でも示せる年になると思う」と述べた。建物だけでなく、通りのにぎわいが新たに生まれていくのを期待し、街の表情を注意して見ていきたい。

(福岡市政担当・塩入雄一郎)

=おわり

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