テレワークでもメークは欠かさない 夢を追うウェブデザイナー

西日本新聞 社会面 吉田 真紀

 始業2時間前の午前7時、起床。カーテンを開けて、朝日を浴びて、メークをする。軽くストレッチしたら、オートミールにブルーベリーをのせたお気に入りの朝食。アロマディフューザー(芳香器)で上品なワインの香りを漂わせているうちに、始業15分前になった。「そろそろ出社しなきゃ」。食器を片付け、パソコンを起動し、「出社」ボタンをクリックした。

 ウェブデザイナーのさとみさん(30)=仮名、福岡市=は、1人暮らしの自宅で完全テレワークとなって12月で8カ月。毎日メークを欠かさないのは、会社から支給されたパソコン上で同僚と顔を合わせるからだ。

 「チャリーン」。業務中は、パソコン上部にある小型カメラで顔を撮影される。モニターの上部には、撮影されたばかりの自分と同僚たちの顔がずらり。昼休みを除く終業の午後5時まで、5分おきに表情が更新される。あくびをしていたり、目が半開きになっていたり。ちょっと恥ずかしい一瞬が公開されるのもテレワークあるあるだ。

 嫌がる同僚もいるが、全く気にならないし、仕事になんの支障もない。「テレワークは自分の世界に入れて、すごく気に入ってる」。ウェブサイトのデザインを手掛ける仕事は、チーム制ではなく自己完結型。締め切りまでの限られた時間で、いかに集中し、納得のいく作品を生み出せるかは、自分との勝負だ。形となったデザインを遠くから、あらゆる角度から眺め、熟考するスタイルも、自宅なら周りの目を気にせずに思う存分できる。

 定刻に「終業」ボタンを押したら、ヨガマットを敷いてスタンバイ。午後6時、同じく自宅での仕事を終えた友人2人とオンライン上で「待ち合わせ」し、ピラティスのレッスンを1時間半受ける。受講者は3人だけ。大勢で受けるスタジオより、講師からきめ細かなアドバイスがもらえる。料金は10回で1万8千円。「運動不足解消になって、コロナ太りも全然してない」。地下鉄での帰宅が不要になった今、午後10時ごろまで仕事に没頭する日もよくある。

 オートミールも、この冬のコートも化粧品も本も、ポイントがたまるネット通販で購入した。一日でマスクを着けるのは、徒歩3分のスーパーに行く15分間ぐらい。「人に会わなくなっても、心はどんどん元気になってるな」

 テレワークで自分と向き合う時間が生まれ「絵本を作り、世に出す」という夢もできた。早速、今月から絵本作家に物語の構成などを学ぶオンライン講座を受けている。自宅にいても、会いたい人に会えるし、やりたいことがやれる。夢への一歩だって踏み出せる。「1人だけど、1人じゃない感覚があるの」。郊外のロフト付きワンルームで、無限の可能性を感じている。

地場主要企業の7割実施

 4月の緊急事態宣言以降、テレワークが急速に広がった。全国5563社へのアンケート(日本生命保険、9、10月調査)によると、テレワークの導入率は従業員1000人超の大企業(113社)で67.3%、同300人超1000人以下(470社)は57.7%、同300人以下(4980社)は21.3%。うち、週平均実施日数を「5日以上」としたのは約1割だった。西日本新聞による地場主要企業119社への調査では73.9%が実施。うち60.2%が「業務効率化につながった」、84.1%が「労働時間が減った」とプラス面を挙げた。

(吉田真紀)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ