土砂災害特別警戒区域の新築住宅 長期住宅ローン適用除外へ

西日本新聞 総合面 中野 雄策

 政府は自然災害で被災の恐れが高い地域への人口流入を抑制するため、土砂災害特別警戒区域に建設・購入される新築住宅について、長期固定型住宅ローン「フラット35S」の対象から除外することを決めた。今年10月から適用する。防災に住宅ローンをからめる新たな手法で、災害の激甚化を前提にあらかじめ被災リスクを減らす対策に本腰を入れる。

 「フラット35」シリーズは最長35年の低金利長期固定の住宅ローン商品で、独立行政法人「住宅金融支援機構」が民間金融機関と提携して提供する。このうち「フラット35S」は、耐震性や省エネ性などの高い住宅を対象にさらに金利が優遇される。2019年度の申し込みはシリーズ全体で12万1957件に上り、うち9割超を「フラット35S」が占めている。

 土砂災害特別警戒区域は土砂災害防止法に基づき指定される。急傾斜地の崩壊や地滑り、土石流が想定される場所でも特に建物や人が被害を受ける恐れが高い地域で、業者の宅地開発は斜面補強をした上で自治体の許可などが要る。一方で個人の新築は基本的に自由で、原則制限なく行われている。

 国土交通省は特別警戒区域の住宅改修を促す補助制度も設けているが、ほとんど活用されていない。今回は財務省とともに新たな誘導手法を検討する中で、こうした地域への新築が質の高い住宅取得と言えず、金利優遇にそぐわない点に着目した。10月以降、設計検査に入る新築住宅が特別警戒区域内にある場合、全て「フラット35S」の対象から外す。

 災害の激甚化を踏まえた防災対策では、河川氾濫で浸水が想定される洪水浸水想定区域の人口増加が問題視されている。ただ、土地利用の規制を強化するやり方は個人の土地の資産価値や私権にからむ。政府は政策誘導で人口抑制を図るのが現実的とみており、国交省関係者は「今後は洪水被害の危険地域にも同様の手法が使えるか、検討課題になる」としている。 (中野雄策)

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