在宅人工呼吸器患者の「命綱」 非常電源助成に格差 九州の自治体

西日本新聞 総合面 梅本 邦明

 在宅で人工呼吸器などの医療機器を使用する患者や障害者が非常用電源を購入する際に自治体が費用を助成する制度を巡り、九州の自治体間で助成の有無や金額に差が生じている。災害で停電すれば患者は命をつなぐため電源確保が欠かせない。近年、豪雨や地震など大規模災害が頻発し、助成のない地域に住む患者は不安を募らせている。

 厚生労働省の研究班によると、人工呼吸器を装着する在宅患者(2020年3月時点)は全国で2万人余り。11年の東日本大震災では障害者の死亡率が全体の約2倍に上り、災害弱者の支援が課題として浮き彫りになった。その後も大規模災害が相次ぎ、障害者総合支援法に基づいて市区町村が実施する「日常生活用具給付等事業」を活用して非常用電源の購入費を助成する動きが広がりつつある。

 人工呼吸器への使用が想定される非常用電源の価格は一般に発電機が5万~30万円程度、蓄電池は5万~6万円程度。西日本新聞が九州の政令市や県庁所在地、中核市に取材したところ、佐賀市、宮崎市、鹿児島市、福岡県久留米市が上限6万~20万円(利用者が原則1割負担など)を助成。政令市は未実施だった。

 これとは別に、九州7県では佐賀県が唯一、20年度に独自の助成(上限20万円)を創設。県内の対象者約80人のうち約20人が助成を申請したという。同県は19年8月の記録的大雨で被災。県内20市町のうち助成実施は4市町にとどまり、県障害福祉課は「大規模災害が毎年のように起きる現状では、市町による助成のばらつきを解消する必要がある」と話す。

 一方、福岡市は未実施の理由として、非常用電源は国が示す「用具」の要件に該当しないと指摘する。「国の要件は『日常生活品として一般に普及していないもの』。非常用電源は障害者向けではなく一般に使われ、該当するとは言い難い」(同市障がい者支援課)

 厚労省自立支援振興室は「非常用電源は一般品であり要件には該当しない」との認識を示す一方、「判断は実施主体の市区町村に委ねている」とした。

 九州の小児科医でつくる「九州小児在宅移行支援研究会」(熊本市)の緒方健一代表世話人は「大容量の非常用電源は高額で、経済的に購入が困難な家庭もある。電源は命綱。自治体の補助はぜひとも必要だ」と指摘する。

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