今夏から「線状降水帯注意報」発表へ 洋上の水蒸気観測 気象庁

西日本新聞 総合面 鶴 加寿子

 気象庁は豪雨災害の原因となる「線状降水帯」が発生しつつある場合、今年の梅雨期をめどに「線状降水帯注意情報(仮称)」の発表を始める。局地的な豪雨をもたらす線状降水帯は発生予測が難しく、当面は発生しつつある段階での情報提供になるが、早めの警戒を呼び掛け被害軽減につなげてもらう。2022年の予測情報提供を目指し、海上保安庁と連携し、九州西方の海上で線状降水帯の原因となる水蒸気量の観測に取り組む。

 線状降水帯は積乱雲が次々と発生して連なり、同じ場所で長時間強い雨を降らせる現象。予測が難しく、現在は降雨量などの観測記録を事後的に分析し、発生の有無を判断する。17年九州豪雨や20年7月豪雨でも発生が確認されている。

 気象庁によると、注意情報は、雨量分布や降雨量などの観測記録を速やかに分析し、線状降水帯が発生しつつある早い段階で発表できるようにする。ホームページなどで「○○地方では線状降水帯が発生しつつあります」などと注意喚起することを検討している。

 積乱雲の発達をより正確に把握するため、福岡気象レーダー(福岡、佐賀両県境)に続き、21年度は種子島レーダー(鹿児島県)を最新型に更新する。

 線状降水帯の発生予測は官民さまざまな機関で研究が進められているが、発生時刻や場所を正確に予測できる段階には至っていない。

 予測困難な理由の一つが、積乱雲のもととなる水蒸気を大量に供給する洋上に観測網がないことだ。このため気象庁は今年から、豪雨が発生しやすい6~9月に東シナ海に同庁の観測船2隻を重点配備し、洋上の水蒸気量を観測。海底地形などを調べる海保の観測船4隻にも新たに気象観測機器を取り付け、連携して調査する。

 こうして得られた水蒸気量などのデータを基に、気象庁は22年に線状降水帯の発生半日前に大雨の確率を出すことを目標にしている。その後もスーパーコンピューターの高性能化などを通じて予測精度を上げ、30年には線状降水帯による集中豪雨を高い確率で予測し、災害発生の危険度を地域ごとに示せるようにする計画という。 (鶴加寿子)

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