普天間の“迷惑料”10年前の8倍超 政府主張と矛盾する負担増の現実

西日本新聞 一面 高田 佳典

 米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市で特定防衛施設周辺整備調整交付金(特防交付金)が急増している。2020年度の4億9千万円は10年度比8・03倍(全国では1・64倍)。九州・沖縄で最大の増加率だった。普天間の負担軽減のため訓練移転などに取り組んでいると主張する政府に対し、“迷惑料”として運用実態を反映する特防交付金の伸びは「負担増」の現実を突き付ける。

 「(普天間所属ではない)外来機の飛行回数の増加と騒音などの影響は減るどころか増えている」。沖縄県の玉城(たまき)デニー知事は昨年12月25日の記者会見で、こう述べた。沖縄防衛局の目視調査で、普天間への外来機の飛来は17年度415回▽18年度1756回▽19年度2776回-だった。

 特防交付金は、施設の運用頻度や面積、自治体の人口などに応じた「普通交付」と、施設の運用の変化を考慮して決まる「特別交付」がある。4月に普通交付の一部、秋にその残りと特別交付が割り振られる。

 10年度6100万円だった市の特防交付金は、19年度に4億円を突破。20年度はさらに7500万円上積みされた。うち、普通交付は10年度比で3200万円増、特別交付はゼロから3億9700万円になった。

 政府は普天間の負担を軽減するとして、常駐のKC130空中給油機を米軍岩国基地(山口県)に移転、輸送機オスプレイの訓練も県外に移している。ただ外来機の飛来回数は増え続け、住民は事故のリスクや騒音被害にさらされている。

 昨年11月の参院外交防衛委員会。元宜野湾市長の伊波洋一参院議員は「負担軽減のためできることは全てやると約束したのに、飛行の絶対数と特別交付が増えた。基地負担は増えている」と指摘。岸信夫防衛相は「訓練移転で普天間に所在する航空機が長期間沖縄を離れる。その間の訓練時間が削減される効果はある」と苦しい答弁に終始した。

 防衛省は取材に対し、増額理由を「外来機の飛来や夜間騒音などの状況を含む近年の傾向を考慮した」と説明。「年度ごとに運用の実態などを総合的に判断して交付している。周辺地域の負担の傾向を判断するものではない」と回答した。 (那覇駐在・高田佳典)

政府の「軽減」矛盾

 山本章子琉球大准教授(日米関係史)の話 政府は普天間飛行場の部隊や訓練を移転したと強調するが、米軍岩国基地に移ったはずのKC130空中給油機の訓練は普天間で行われている。米軍の訓練を制限できない日米地位協定を改定しない限り、真の負担軽減にはつながらない。特防交付金の趣旨を考えれば、増額傾向から周辺自治体の負担増は明らかで、政府の説明は矛盾している。

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