「あなたは悪くない」分かち合う DV被害証言を動画配信へ 福岡のNPO法人

西日本新聞 社会面 川口 史帆

 ドメスティックバイオレンス(DV)の被害女性を支援する福岡市のNPO法人「アコア」は、被害者本人が体験を語るチャンネルを動画投稿サイトユーチューブ」に開設する。3月にも公開する予定。コロナ禍でDV被害が増える中、当事者が生の証言を発信し、誰にも助けを求められずに苦しむ人たちと悩みを分かち合おうとする取り組みだ。

 アコアでは月に数回、虐待やそのトラウマ(心的外傷)に悩む女性が集まり、心身を回復するグループミーティングなどを行っている。参加者が受けた被害はパートナーや親、養育者などからの身体的、精神的虐待や性暴力のほか、周囲の不適切な言動で傷つく二次被害など、さまざまだ。

 動画には心身が回復傾向にあるミーティング参加者らが出演し、被害体験などをインタビュー形式で語る。被害を受けていることに気づいていない人に被害の自覚を促す狙いもあり、加害者からの避難方法や支援機関も紹介する。個人が特定されないように顔を隠し、声色も変える。

 チャンネル名は「エンパワーチャンネル」。エンパワーは人を力づけ、自信を持たせるなどの意味がある。アコアの和根崎いくえ代表は「自分らしい人生を取り戻してほしいという思いを込めた」と語る。

 内閣府は昨年4月、DVに関する相談に応じる「DV相談プラス」を開設。都道府県などが設置する配偶者暴力相談支援センターと合わせ、10月までの7カ月間に寄せられた相談は計約11万6700件で、前年同期比で約1・5倍に急増した。

 コロナ禍による外出自粛やテレワークの普及により、閉鎖的な空間で家族が一緒に過ごす時間が増えたことが要因とみられる。NPO法人「福岡ジェンダー研究所」理事の倉富史枝・西南女学院大教授は、加害者が同居していると第三者に相談することも難しく、潜在的な被害者はさらに多い可能性があると指摘する。和根崎代表は「悩む人たちに『あなたは悪くない』と伝え、多くの人に暴力の実態を届けたい」と話している。

 (川口史帆)

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