延期、近場、短縮の末に…翻弄される修学旅行 相次ぐ中止、保護者も苦悩

西日本新聞 竹次 稔 福間 慎一

 中高生にとって最大のイベントとも言える修学旅行。新型コロナウイルスの感染再拡大に伴い、中止を決断する学校が福岡県で相次いでいる。延期や近場への行き先変更、宿泊日数の削減など見直しを重ねて、ようやく-という時期に直面した第3波。西日本新聞「あなたの特命取材班」には「行かせたいけど、感染が怖い」と思い悩む保護者たちの声が届いている。

 福岡県教育委員会によると、県立学校(全日制高校92校など120校)の修学旅行は2年生の秋から3学期にかけて計画され、1月~2月上旬が最も多い。

 5日時点で実施済みは15校。昨年12月21日時点では41校だった「中止決定」は、60校に増えた。そのほかは検討中という。政府は7日にも首都圏を対象に緊急事態宣言を発出する見通しで、さらに中止が増える可能性がある。

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 「8日に最終判断が迫られています」。高校2年生の娘がいるという保護者は頭を抱えている。

 当初、昨秋に実施予定だった修学旅行はコロナで延期に。その後、「1月に関東方面で4泊」という旅程が組まれたが、それも3泊に短縮された。それでも「今の状況からすると、行かせるのはとても怖い」。

 参加を見合わせる家庭もあるが「子どもが『行かない』と決断するのはかなり勇気がいる」と感じる。「学校が中止の決定を早くした方が、子どもたちも気持ちの切り替えが早くできる。娘も、積立金で卒業旅行に行きたいと話している」と打ち明ける。

 介護従事者という投稿名「そうまま」さんも悩んでいる。同じく娘が高校生。冬休み前、学校から「予定通り行く」と連絡があったが、「もし娘が東京へ行けば、(職場のルールで)私は出勤停止。2週間休む必要がある」。

 子どもにとって一生に一度のイベントであることは百も承知。それでも「どの自治体でも多くの感染者が出る中、大人数で県境をまたぐのはいかがなものか」と参加には否定的だ。夫は学校の判断に従う方が良いとし、夫婦でも意見の違いが出ている。

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 本紙ウェブサイトに投稿された意見は、賛否が割れている。

 投稿名「赤坂」さんは実施に賛成だ。「感染のリスクが高いのは移動ではなく飲食中であること、旅行先の方との接触の機会はほとんどない」と理由を挙げる。前提として「受け入れ先の感染状況や、受け入れ先が拒否していないことが重要」という考えだ。

 投稿名「k・z」さんは「行く前と帰宅日に(PCR)検査を徹底してやれば実施できる」と提案した。

 一方、投稿名「もと」さんは「子どもたちや学校関係者以外に、移動中や修学旅行先の第三者にも感染リスクが及ぶことを考えれば答えは出てくる」と否定的。「感染者が今どんな状況にあるのか、医療従事者がどれだけのリスクを抱えながら治療しているのかを、子どもたちに伝えることを重視すべきだ」と訴えた。

 ほかにも「政府の『Go To』事業が停止となり、再開のめどが立たない。今は全員でしっかり自粛、対策してほしい限り」という投稿も見られた。

 フリーの観光バスガイドという投稿名「ガンモ」さんは「修学旅行のキャンセルが続き、観光業にとって存続の危機だ」としながら「ここまでコロナが広がれば、中止は仕方ない」と理解も示す。

 ガンモさんの内心は複雑だ。ガイドの仕事が減ったため、ほかのパートの仕事も行っている。ガイドを優先して入れており、急なキャンセルでガイドもパートもできなくなる恐れがある-というのだ。

 「私たちにはキャンセル料が支払われることはない。早くコロナを終息させ、子どもたちの思い出作りができるようにしてほしい」

(竹次稔、福間慎一)

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