「1カ月で収束できない」専門家ら疑問 緊急事態宣言、政府は延長視野

西日本新聞 総合面 河合 仁志 久 知邦 前田 倫之

 7日にも発出する首都圏の1都3県を対象とする緊急事態宣言を巡り、政府が1カ月程度の期間を想定していることに疑問の声が広がっている。新型コロナウイルス感染症の専門家は「1カ月で解除するのは難しい」として、菅義偉首相が対策の柱と位置づける飲食店の営業時間短縮による効果も限定的とみる。政府高官は「延長すれば問題ない」との立場だが、医療崩壊は近づいており、国民に危機感が伝わらない誤ったメッセージになりかねないと危ぶむ声もある。

 5日夜、内閣府で開かれた臨時の記者会見。政府の感染症対策分科会の尾身茂会長は感染状況が1段階下のステージ3(感染急増)になれば「解除が視野に入る」とするが、飲食店の時短営業の効果について「これだけでは今回の感染を下火にできない」と断言。爆発的な感染を抑え込むまでの期間を問われると「1カ月では至難の業だ」と率直に語った。

 対策を助言してきたメンバーも呼応する。6日、厚生労働省で開かれた会議に出席した専門家は「1カ月半から2カ月くらいの間隔で見なければいけない」「幻想は捨てた方がいい」。全国での感染確認が初めて6千人を超えたこの日、一様に厳しい認識を口にした。

 背景には宣言発出に至ってもなお、首相が経済への打撃を最小限に食い止めようと「限定的、集中的」に取り組むとしていることへの疑念がある。

 対策としては不十分だ-。6日の専門家組織の会議では、政府が最終調整している対処方針を念頭に、宣言の長期化は避けられないとするシミュレーション結果も示された。

 京都大大学院の西浦博教授の資料によると、1人の感染者が平均何人にうつすかを示す「実効再生産数」は、昨年12月半ば時点の東京都で平均「1・1」。これを「0・8」にしないと収束は見えてこないが、飲食店の時短だけではせいぜい「0・9」止まり。達成には、人と人の接触機会を8割減らす外出自粛など厳しい措置が必要で、それでも2カ月はかかるという。

 これについて、加藤勝信官房長官は6日の会見で「(専門家の)議論を踏まえて検討を進めていきたい」と述べるにとどめた。厚労省は西浦氏の資料を公式なものとせず、あくまで私的な見解として取り扱い、その場で回収した。

 緊急事態宣言の発出に伴い、時短要請に応じない飲食店名の公表にも実効性があるのかどうか不透明だ。そもそも要請に従わない膨大な店名を公表するのは現実的ではなく、昨年の発出時に公表されたパチンコ店にはかえって人が殺到し、「逆に宣伝になっただけ」との批判も出た。

 政府高官は6日夜、緊急事態宣言の期間を2月7日までとすることを認めた上で、「その時の状況で延長をするということはもちろんあるが、2カ月も3カ月もそんなに頑張れるもんじゃない」と強気に振る舞った。

 (河合仁志、久知邦、前田倫之)

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