「温泉街が生まれ変わるチャンス」 あまがせ女将の会・髙瀬純子会長

西日本新聞 大分・日田玖珠版 吉田 賢治

復興への決意~天ケ瀬温泉街(3)

 -天ケ瀬温泉街の旅館・ホテルの復興状況は。

 「歴史ある天ケ瀬温泉だが、近年でこれほどの被害を受けたことはない。これまで川べりの建物では膝まで水が漬かり、床下浸水したりすることはあったが、橋が流れるほどの被害は初めて。温泉街全体として危機的状況にある」

 「私の旅館は高台に位置しているために被害はなかったが、大きな被害を受けた施設は手つかずのところが多い。そもそも玖珠川の河川改修計画が定まっていないことに不安があり、再開のために改修などに踏み切るか、営業をやめるか迷っている。高齢の経営者もいる。借金をしてでも再開を目指すのは大変な決断がいる」

 -玖珠川を管理する県から昨年10月、河川改修の説明があった。

 「大きな堤防を造れば、個性ある川辺の温泉街の景観を壊してしまう。右岸は山が迫り、左岸はJRの線路が走っているため河川の拡幅も難しいと思うが、それでも建物の立ち退きを求められるのだろうか。誰もが住み慣れた土地であり、それも難しい。流量を増やすための川床の掘削は、川底にある泉源に影響を与える可能性がある。一番の売りである川辺の温泉がなくなったり、観光客が川遊びができなくなったりするのも死活問題だ」

 「アイデアはある。堤防を造るにしても川の景色が見通せるような透明板にできないのか。温泉街を流れる水量を減らすために導水路を造り、下流部に直接流すことはできないのか。費用や技術面で素人的な考えかもしれないが、天ケ瀬が生き残っていくために私たちも必死に考えている」

 「地元住民にはさまざまな考えがある。意見がまとまることはないかもしれない。最後はみんなの思いをくみ取り、最善の方策を国や県が決めるしかない。費用がないなら、アイデアを出してほしい」

 -温泉街の今後をどう描いているか。

 「ピンチではあるが、温泉街が新しく生まれ変わるチャンスでもある。お客が入りたい店や旅館が連なるような、歩いていて楽しくなる街が理想。経営者それぞれの個性が光り、その競い合いで街並み全体の魅力がアップすればと思う」

 -復興への決意は。

 「コロナ禍の中でも、県内外から天ケ瀬に足を運んでくれる観光客がいる。そうした人たちを誠心誠意おもてなしをしてきた。それは、これからも変わらない。私の旅館だけでなく温泉街を訪れた人たち全員を、おもてなしの心で迎えたい。天ケ瀬は湯布院、別府と並び『豊後三大温泉』に数えられているのに忘れられていると思う。忘れられたくない。負けたくないとの強い気持ちを持ち続けたい」

【あまがせ女将の会】開湯は1300年前とされる天ケ瀬温泉。旅館組合には14軒が加盟する。「あまがせ女将(おかみ)の会」は2004年に温泉街の旅館・ホテルの女将たちで結成。JR天ケ瀬駅に手湯や足湯を設置したほか、豪雨災害を受けた久大線が18年に全線復旧した際には、記念に温泉の素を天ケ瀬駅下車の観光客にプレゼントするなど、宿泊施設の垣根を越えて活動している。

 (聞き手は吉田賢治)

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