緊急事態 再宣言「営業努力に限界」外食や観光業者の業績悪化加速も

西日本新聞 経済面 石田 剛 下村 ゆかり 向井 大豪

 政府が再発出した新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言を受け、コロナ禍で低迷する日本経済はさらに冷え込みそうだ。外食や観光産業では、市場規模の大きい1都3県の営業時間短縮や夜間の外出自粛要請に伴い、業績悪化が加速する懸念が強まる。地方経済にとっても、首都圏からの往来が止まれば大きな打撃となる。

 対策の「急所」として、午後8時までの営業時間短縮を要請された外食業界。大手のほとんどは要請に応じる方針だ。

 ロイヤルホールディングス(HD、福岡市)は、レストラン「ロイヤルホスト」など約270店の閉店時間を午後8時に繰り上げることを決めた。昨春の緊急事態宣言下では、一部店舗の休業や持ち帰りのみの営業で対応した。売上高は落ち込み、2020年12月期決算は創業以来最大の赤字となる見込みだ。今回の宣言の影響は見通せず、広報関係者は「ディナーの集客は厳しくなる。また売り上げが減少するのは確実」。

 居酒屋「甘太郎」や焼き肉店「牛角」を展開するコロワイド(横浜市)は、対象地域の店舗について営業時間の短縮や一時休業とする。担当者は「午後8時まででは、居酒屋はほとんど営業できない。忘年会・新年会も激減したのに、さらに痛手になる」と漏らす。

 飲食店と取引する食品産業も危機感を募らせる。サッポロビール(東京)の野瀬裕之常務執行役員は21年事業方針説明会で、居酒屋などに販売する業務用ビールについて「1月からかなりアゲンスト(逆風)になる」。キリンビール(同)の布施孝之社長も「外食市場は裾野が広い。雇用の喪失などいろいろなことを危惧している」と語る。

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 政府が観光支援事業「Go To トラベル」を昨年12月に一時停止し、需要が大きく落ち込んだ観光業界。東京のホテル運営企業の関係者は「緊急事態宣言の“ダブルパンチ”は痛すぎる」。かき入れ時の年末年始の予約は3割近くがキャンセルとなった。「トラベル」の再開時期は見えず、宣言中は出張や旅行需要も見込めない。「感染対策や営業努力の限界を感じる」と表情は暗い。

 オリックス不動産が運営する「別府温泉 杉乃井ホテル」(大分県別府市)も年末年始のキャンセルが相次いだ。広報担当者は「しばらくは厳しい状況が続くだろう」。JTB総合研究所によると、昨年12月23日~1月3日の国内旅行者数や総消費額は前年同期比で約7割減った。

 航空会社のスターフライヤー(北九州市)は、感染再拡大を受けて便数を減らしていた主力の羽田線について、近く追加減便を実施する方針。担当者は「増資の枠組みも決まって再スタートというところでこうした事態となり、打撃は大きい」と話した。

 (石田剛、下村ゆかり、向井大豪)

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