トランプ氏支持者「方法、他にない」民主主義軽視の悪あがき

西日本新聞 国際面 田中 伸幸

 【ワシントン田中伸幸】「トランプのために戦え」-。米連邦議会議事堂にトランプ大統領の支持者が乱入した6日午後、議事堂前に叫び声が響き渡った。昨年の大統領選でバイデン次期大統領陣営による不正があったと主張し、支持者たちに「行動」を促したトランプ氏。だが、退任2週間前の無謀な抵抗は議会を一時不法占拠し、死者まで出す前代未聞の暴動へと発展した。

 乱入発生から2時間後、議事堂前に駆け付けると「選挙は盗まれた」と書かれたパネルやトランプ氏の名前入りの旗を掲げる支持者たちが陣取り、警官らと相対していた。

 「次の4年もトランプが大統領だ」。議事堂近くで民主党支持者とみられる女性から「負け犬」と罵声を浴びせられた若者は憤った。彼らの怒りの矛先はこの日、バイデン氏の当選認定に賛成する与野党議員に向けられた。

 一方、認定に異議を唱えると表明した共和党議員には称賛の声が相次ぐ。来年の中間選挙で改選を迎える議員や、2024年の大統領選で立候補を目指す議員が目立つ。昨年の大統領選でトランプ氏は現職大統領として過去最高得票を獲得。保守層からの支持は依然絶大だ。トランプ氏への忠誠心をアピールすることで、自身の支持につなげたい-。議員たちからはそんな思惑が透ける。

 退任後も共和党内での影響力を維持し、次期大統領選で自身か、家族の出馬を目指すとみられるトランプ氏もそんな議員たちの心理を巧みに利用し、忠誠を迫った。

 4年間、自身を支え続けたペンス副大統領が6日、バイデン氏の当選を認める考えを示すと、トランプ氏はツイッターで「意気地なし」と激怒。敗北を決して認めない彼の言動が今回の暴動を招く要因となった。

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 民主主義の根幹である選挙結果を受け入れず、不正の訴えを裁判でことごとく退けられたトランプ氏だが、熱狂的な支持者はかたくなに彼を信じる。

 ワシントン在住の女性に、今回の暴動について感想を聞くと「他に(阻止する)方法がないのだから仕方ない」と素っ気なく答えた。議事堂前の広場には「今日は歴史的な日だ」と笑いながら記念写真を撮る人たちも少なくなく、民主主義が脅かされているとの危機感は感じられなかった。

 トランプ氏が呼び掛けた支持者集会に参加するため、南部ミシシッピ州から遠路駆け付けた白人女性のジーナさん(56)は、議会に向かうよう促したトランプ氏に従い、議事堂前に移動。次々と侵入していく支持者に「彼らの怒りはよく分かる。選挙結果が本当に正しかったのか、きちんと調べるべきだ」と理解を示したが、侵入は行き過ぎだと思いとどまった。

 「トランプが今日のような騒動を明日以降も容認するなら、何らかの罪に問われかねない」と語ったジーナさん。そんな彼を今後も支持し続けるのかと聞くと、彼女は無言で立ち去った。

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