不寛容な時代に願うこと

西日本新聞 社会面 稲田 二郎

 大分県の温泉地、湯布院のある旅館経営者は、政府の観光支援事業「Go To トラベル」(一時停止)に否定的だった。「安く旅行して楽しみ、その後、通常に戻ったら、しばらくは旅行はいいやとなるでしょう」。需要の先食いであり、後に業界は苦境に陥ると予想する。一方で、目前の苦境を乗り切るために事業は必要だという経営者が多いのも確かである。

 どちらにも理はある。立場や考え方によって意見は異なり、医療関係者が「Go To」を見る目もまた違うだろう。新型コロナ対策に限らず、情報があふれる複雑な現代社会において、世論の一致をみることは難しい。

 不寛容の時代と言われて久しい。自らの意見と異なれば、相手を過剰に責め立てたりばっさりと切り捨てたりする風潮が漂う。今こそ、深慮熟考と思いやりが必要ではないか。無用な対立がなくなり、穏やかな1年となることを年の初めに願う。 (稲田二郎)

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