天守閣の公開が待ち遠しい…〝おもてなしの顔〟として活動する男性

西日本新聞 熊本版 綾部 庸介

 「天守閣は城の顔。これだけ早く元に戻るとは思ってもみませんでしたな」

 「熊本城おもてなし武将隊」の加藤清正さん(本名非公表)。築城した当人であり、歴史上は慶長16(1611)年に没したが「現代人の体を借りてよみがえり、現在458歳」という形で活動している。

 武将隊は2012年7月、清正公生誕450年を記念して発足した。9年間で「宿主」の体が変わるメンバーもいる中、発足当時から「おもてなしの顔」として活動。天守閣の周辺や、隣接する観光施設「桜の馬場城彩苑」で演舞を披露し、観光客を出迎えてきた。

 16年4月14日。熊本地震の前震が発生した午後9時ごろは、天守閣近くの部屋で演舞の稽古の真っ最中だった。「よもや、わしの城が崩れるとは想像もしておらんかった」

 城があってこその武将隊。地震直後は活動を続けることに葛藤もあったが、すぐに思い直した。「城と同じく『そこにいる』ことに意義があるんじゃなかろうか」。演舞を再開したのは、半月後の5月1日。城彩苑の舞台に立ち、観光客に城内の被災状況を説明し、懸命に刀を振るった。

 あの日からもうすぐ5年。「城を築いて400年あまり。現代でも心の支えにしている者は多く、復旧工事に携わる皆の衆には感謝しかない」。順調に進む再建に満足そうだ。

 復旧に伴い、天守閣にはエレベーターが新設された。「賛否両論あるが、築城当時に存在していれば、わしも設けていたかも。多くの人に楽しんでいただけたら、それが正解じゃ。築城当時から、城は日々進化しておる」と語る。

 天守閣内部が一般公開される4月26日を、自身が一番楽しみにしている。「この5年で城の周辺がどう変わったか、東西南北を見渡してみたい」。天守閣の思い出については「わしは築城の4年後に一度死んでおるからのう…。武将隊として見た景色の方が目に焼き付いておる」そうだ。

 城全体の復旧が完了するのは37年度。まだまだ長い時間を要する。「時間がたつと、災害も風化してしまう傾向がある。城にいるわれわれが、活動を通じて後世に伝えていきたい」。いつか、地震前のように、天守閣周辺で観光客に演舞を披露したい。それまで「築城主」として、熊本の復興を見守っていくつもりだ。 (綾部庸介)

 =おわり

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