小松左京氏 九州SFファンに向けメッセージ、半世紀前の同人誌に寄稿

西日本新聞 社会面 塩田 芳久

 「日本沈没」などで知られる作家小松左京氏(2011年に80歳で死去)が九州のSFファンに向けたメッセージを、1969年に福岡で発行された同人誌に寄稿していたことが分かった。地方での活動を称揚し、盛り上がりを期待する内容。今年は小松氏の没後10年で、最新科学の知見に裏打ちされた先見性が再評価される中、当時の雑誌同人たちは「草創期のSFに小松氏が注いだ熱い思いがよみがえる」と口をそろえる。

 小松作品は、日本全土が海に沈む「日本沈没」が95年の阪神大震災、2011年の東日本大震災時に再注目された。正体不明のウイルスに人類が滅亡の危機にひんする「復活の日」も20年のコロナ禍で話題になった。東日本大震災から10年を迎える今年は、「日本沈没」のテレビドラマ化も予定されている。

 メッセージは、九州SFファンクラブ(KSFC)の月刊機関誌「てんたくるす」56号(69年8月刊)に掲載。KSFCが同月23~24日に熊本・杖立温泉で開く第8回日本SF大会(愛称はキュウコン)の特集号で、「九コンさん江」と題した一文を寄せた。

 全国のファンが集う日本SF大会は、62年の第1回から会場は東京や大阪、名古屋と大都市に限られていた。地方で初の開催に、小松氏は「大阪東京市のようなまことにもってクーダラナイクーダラナイ巨大巡査(メガロポリス)からはなれて」「キッチョムさんや肥後もっこすさん」たちがいる「九州の地でおこなわれることを、心からうれしく思います」とユーモアを交えて期待を表した。そして「何とぞ、大成功をおさめられん事を」とエールを送った。

 62年デビューの小松氏は「復活の日」「明日泥棒」などの話題作で、当時既にSF界の第一人者。64年設立のKSFCは、後にSF作家となる熊本市の梶尾真治さん(73)ら九州各地のファンの拠点で、当時の会長兼「てんたくるす」編集長の松崎真治さん(89)=福岡市=は「九州ではSFは発展途上中で愛好家だけのものと思われていた。小松さんはSF普及と発展を願って文章を寄せてくれた」と振り返る。

 小松氏は大会にも駆け付け、講演会で執筆中の「日本沈没」(刊行は73年)のアイデアの一部を披露したという。大会副委員長だった梶尾さんは「最新の科学的知見を基に地震のメカニズムを学んでいると語っていた。SFの無限の可能性を伝えていたのだろう」と話した。 (塩田芳久)

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