消防、九州初女性管理職 現場未経験の悔しさばね 北九州の三原さん

西日本新聞 ふくおか都市圏版 笠原 和香子

 北九州市消防局の三原千恵子さん(53)は昨年春、小倉南消防署(小倉南区)副署長兼予防課長に就任し、「女性消防士」としては九州で初めて管理職になった。今でこそ消防庁は女性の登用を進めているが、女性が消火活動に従事できるようになったのは2004年。三原さん自身、消火活動をしたことはなく、性別で活動が制限されることに悔しさを募らせてきた。消防庁の女性活躍推進アドバイザーも務める三原さんは「誰もが自分らしく働ける職場、組織を目指したい」と力を込める。

 九州で初めて「婦人消防士」が誕生したのは1987年。同市出身の三原さんが消防士になったのは、その翌年。中学から短大までバレーボールで培った体力を生かそうと考えた。

 当時は「母体保護」を理由に、女性は火災現場に行けなかった。三原さんの仕事は子どもや高齢者ら市民に対する啓発活動が中心だった。やりがいを感じる一方で、「現場に行けず、消防士と言えるのか。女性消防士でなく消防士でありたい」と願ってきた。

 結婚、出産を経て「女性が働きやすい職場にしたい」と昇任試験に挑戦。消防庁の通知で女性が消火活動に従事できるようになった2004年に消防司令補になり、人事部門に配属された。

 当時、局内では女性の現場活動は難しいとの認識が強かったが、後輩の女性たちからは「現場で働きたい」との声が上がっていた。こうした声を受け、07年に管理職の男性全員を対象に意識調査を実施。「過酷な現場についてこられるか」「厳しい訓練に耐えられるか」など特に体力面に不安を持っていることが分かった。

 一方で、女性の職域拡大に理解がある人が半数以上いることや、火災現場で指示を出す指揮隊での情報収集役は女性にできると考えている人がいることも分かった。翌年、指揮隊に女性2人が配置されるきっかけとなり、13年には消防隊に女性3人が正式に配置され、消火活動に従事するようになった。

 消防士の女性の割合は全国では19年4月時点で2・9%にとどまるが、北九州市は政令市でトップクラスの約5%(昨年11月時点)まで増えた。

 三原さんは19年から消防庁のアドバイザーとして、各地の消防本部などで女性の採用を増やすための方策や女性が働きやすい環境づくりについて助言、講演を行っている。「女性の後輩たちが男性と一緒に活躍する姿が頼もしい。性別にかかわらず、誰もが自分らしく働けるように後押しをしていきたい」と精力的に動いている。 (笠原和香子)

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