「音楽があふれる街に」 佐賀市で金曜夜のストリートライブ主催

西日本新聞 佐賀版 岩崎 さやか

 毎週金曜日の午後6時半、佐賀市呉服元町の通りに歌声が響く。シンガー・ソングライターによるギターの弾き語り、子どもたちの元気あふれるダンスと歌…。656(むつごろう)広場のライブイベント「音楽の時間」は、地元アーティストが自由に表現できる舞台。家路に就く人や夜の街に繰り出す人が、広場前の通りで足を止め、音楽に耳を傾ける。「通りや広場がアーティストを育てる場として定着してほしい」。主催する栗原誠治さん(60)の願いだ。

 「音楽の時間」を始めたのは2015年4月ごろ。主宰する劇団「ティーンズミュージカルSAGA」(同市駅南本町)のメンバーのために発表の場を作ろうと考えたのがきっかけだった。音響設備が整う656広場を会場に決め、劇団員だけでなく、地元アーティストにも気軽に音楽やダンスを披露してもらおうと「ストリートライブの延長」としてスタートした。

 開始から5年以上が過ぎたが、中止したことはほとんどない。大雪に見舞われた8日夜もアーティストが集い、音楽を奏でた。開催数は260回を超える。「やっていて楽しいから『また次も』と続けられる。中止にして、来てくれた人にがっかりしてほしくない」。回を重ねることで、アーティストを育む環境を根付かせたいとの思いがにじむ。

 観客同士の新しいコミュニティーも生まれた。毎回30人ほどが鑑賞に訪れ、出演者たちに差し入れを配ることも。約1年前から楽器持参で通う男性常連客(28)は「観客と出演者の一体感が好き」と魅力を語る。舞台が金曜夜の中心市街地とあって、ほろ酔いのサラリーマンが「何してるの?」「歌うまいね」と話し掛けてくることもしばしば。観客席から歌に合わせた即興演奏が始まったり、アーティストと一緒に盛り上がって大合唱したり。ストリートライブの醍醐味(だいごみ)を味わえる舞台は、呉服元町の恒例イベントとして浸透している。

 20代で劇団を旗揚げするなど、佐賀市を拠点に芸術活動に携わってきた栗原さん。佐賀ではなじみの薄いストリートライブを定着させることが地元アーティストの成長を後押しすると信じている。「『音楽の時間』は芸術に気軽に触れられる空間。ここから街全体に芸術が広がり、音楽があふれる街になれば面白いね」。アーティストと市民が響き合う時間をこれからも育んでいく。 (岩崎さやか)

 =おわり

佐賀県の天気予報

PR

佐賀 アクセスランキング

PR

注目のテーマ