15年経て…かつての少年サポーター、昇格の力に J1福岡分析担当の原動力

西日本新聞 ふくおか都市圏版 中野 剛史

 15年前にサッカーJリーグアビスパ福岡のJ1昇格を祝う報告会で当時のエース、グラウシオ選手に寄り添いピースサインをしていた少年が、チームの一員となってJ1昇格の力になった。勝敗の要ともなる分析担当の中嶋円野(かずの)コーチ(28)だ。あの日の興奮を胸にサッカーに関わり続け、大学院で指導技術を学んだ。アビスパは今年5年ぶりのJ1。「少しでも上位で残留を」とJ1定着へ意気込みを見せる。

 中嶋コーチは福岡県大野城市出身。小学生の時に地元チームでサッカーを始めた。アビスパの本拠地、博多の森球技場にもサポーターとして通った。「みんなと一緒に飛び跳ねながら応援しました」と思い出す。

 中嶋少年が中学1年になった2005年12月、アビスパは5年ぶりのJ1昇格を決めてシーズンを終えた。福岡市役所前広場であった報告会。少年も色紙を抱えて選手たちのサインを求める行列に加わった。グラウシオ選手をはじめ若手のホープだった中村北斗選手、後にエースとなる新人の城後寿選手…。みぞれが降る会場は1200人の熱気に包まれた。「地元のクラブが強いとこんなに盛り上がるんだ」。あの日の胸の高まりが、サッカーを続ける原動力になっていた。

 春日高を経て、鹿児島大に進学。けがもあり、指導者の道を志した。大学院はサッカー界に多くの指導者を輩出している筑波大でコーチングを学んだ。2019年シーズンにJ1の湘南ベルマーレでコーチを務めた後、アビスパに誘われた。「子どもの頃から見ていたクラブをJ1に上げる力になりたい」。力がみなぎった。

 アビスパでは分析担当。対戦チームの数試合分の映像を参考に相手の攻撃や守備の特徴などを映像にまとめ、ミーティングで選手に伝える。20年シーズン、新型コロナウイルスの影響でJ2は過密日程となり、中2日での試合もしばしば。食事や寝る時間を削って研究に当てた。「分かりやすくて参考になった」。選手たちの声が励みになる。アビスパは昨年、J2で最少失点。その一助になった。

 首脳陣の一員として最も心掛けているのは「観る」こと。選手たちとの年齢も近く、試合になかなか出られない選手にも気を配る。リーグ戦初出場を果たした若手は「居残り練習にコーチが付き合ってくれたおかげ」と感謝した。昇格を決めた昨年12月16日、ピッチで誰よりも大声を上げ、仲間と抱き合った。

 アビスパは5年周期でJ1に昇格しては1年で降格するサイクルを3回、繰り返している。「J1とJ2はレベルが全然違う」と表情を引き締めながら「素晴らしい攻防を福岡のサポーターに見てもらえる。チームの一員として歴史を変えたい」。少年時代から温め続けてきた熱い思いそのままに、勝負の年へ挑む。 (中野剛史)

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