広がるワーケーション 老舗旅館など熱視線 Wi-Fi整備や客室改装

西日本新聞 佐賀版 野村 有希

 リゾート地や地方などで余暇を楽しみながら仕事をする「ワーケーション」が、佐賀県内でもじわりと広がっている。ワーケーション制度を導入した企業では、新型コロナウイルス感染症対策に加え、気分転換にもなると社員から好評だという。キャンプ場がインターネット環境を整備したり、老舗旅館が客室をワーケーション向けに貸し出したりするなど、新たな需要を取り込む動きが出ている。

 ウェブ制作などを手掛ける佐賀市のANDCO(アンドコ)は昨年5月にワーケーション制度を導入した。観光地のホテルなど、会社から離れた場所で仕事をする社員に1日5千円を補助している。

 これまでに社員数人が制度を利用し、唐津市や熊本県天草市を1泊2日で訪れた。パソコンなどを持ち込んで、初日は仕事、2日目は観光を楽しんだ。利用した社員からは「普段と異なる場所での仕事は気分転換になった」「(一緒に出掛けた)社員同士の親睦が深まった」と好意的な意見が寄せられたという。江口英希社長(45)は「感染リスクを減らすだけでなく、さまざまな場所で仕事に取り組むことで、新しい価値観や発想を生むきっかけをつくりたい」と期待する。

 こうした企業の動きを捉え、ワーケーション需要の取り込みに力を入れる宿泊業者も現れた。唐津市の「波戸岬キャンプ場」では、ワーケーション利用を増やそうと、国と県の補助金を活用し、公衆無線LAN「Wi-Fi」の整備を進める。担当者は「インターネットを整備して、より仕事に取り組みやすい環境をつくりたい」と意欲的だ。

 短期滞在にとどまらず、オフィスごと呼び込む動きも。昨年4月に嬉野市の老舗温泉旅館「和多屋別荘」が部屋を企業に賃貸する事業を始めると、ウェブ企画制作会社「イノベーションパートナーズ」(東京)の支社が入居した。客室を改装した約50平方メートルのオフィスでは同12月末時点で5人が勤務。窓の外には風光明媚(めいび)な景色が広がり、館内の温泉にも入り放題だ。阿部彩香支社長(36)は「仕事をしながらリフレッシュもできるので、とても良い環境です」と話す。当初は1室の利用だったが、嬉野での事業拡大に伴い、同12月までにもう2室を追加。スタッフも増やしていくという。

 和多屋別荘では同8月に賃貸事業の専門部署を立ち上げ、事業を本格化させている。小原嘉元社長(43)は「コロナ収束の見通しは立たず、従来の旅館営業だけでは厳しい。将来的には、オフィスの賃貸による売り上げを宿泊の売り上げと同程度まで引き上げたい」と述べた。 (野村有希)

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