再エネ「八女方式」全国へ 太陽光パネルと蓄電池提供 15地域が導入

西日本新聞 社会面 丹村 智子

 福岡県八女市の地域電力会社「やめエネルギー」が、契約者に太陽光パネルと蓄電池を無償提供するビジネスモデルを展開し、全国に広がりを見せている。国が促進する再生可能エネルギーの普及と電力の地産地消を目指すとともに、災害時の発電や電源としての利用も期待される取り組み。既に同県久留米市や宮崎県、愛知県豊田市などの15の地域電力会社が導入を決めている。

 やめエネは、太陽光発電事業を手掛けるアズマ(八女市)と共同で、10年間の継続を条件に契約者宅や事業所の屋根に太陽光パネルと蓄電池を無償で設置。契約者は、当初10年間はやめエネに電気代を払い、発電した電力を大手電力会社より数%安い料金で使う。この一部は、やめエネを通じてアズマも受け取る。

 やめエネは、契約者の太陽光発電の余剰電力があれば回収して他社に売電する一方、不足分は電力市場などから調達して供給する。パネルと蓄電池は10年後に契約者の所有となり、発電した電力はすべて契約者が使用、売電できるようになる。

 アズマによると、中間業者を挟まず調達コストを下げることで、10年で収益を確保できる枠組みを確立できたという。やめエネの本村勇一郎社長は「八女市だけで年間電気代総額は53億円にも上る。こうしたお金が大手電力でなく地域に還元されれば、経済活性化や雇用増にもつながる」と期待する。

 災害時でもパネルで発電できるだけでなく、蓄電池を非常用電源としても使える。蓄電池は容量2キロワット時でスマートフォンなら160台分の充電が可能という。

 昨年6月に八女市内と福岡県広川町で営業を始めると、事業者を中心に2カ月で100件あまりの契約を得た。また、地域電力会社には、アズマを通した資材調達を勧めながら無償でノウハウを提供。西日本を中心に15社が導入を決めた。

 来月にもノウハウを共有した地域電力会社による組織を立ち上げ、資材調達やシステム開発、国への提言などを共同で行う枠組みを作る。アズマの中島一嘉社長は「電力が地域内で循環する仕組みを実現し、目的を同じくする他の地域と一緒に“強い田舎”をつくりたい」と話している。 (丹村智子)

【ワードBOX】地域電力会社

 地元企業や自治体などが出資し、限られた地域に電力を供給する。2016年の電力小売り自由化を機に各地で誕生。風力や太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギーの普及と、電力の地産地消による地域経済活性化を目標にする会社が多い。自前で発電所を建設、維持するのは高コストなため、多くは大手から電力を調達している。

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