共和、有罪へ造反出るか トランプ氏弾劾訴追 上院裁判巡り権力闘争

 【ワシントン田中伸幸】トランプ米大統領が史上初めて2度弾劾訴追された大統領となり、歴史に汚点を残した。今後は上院の弾劾裁判で共和党内から大量造反が出て有罪となるかが焦点。独善的なトランプ氏に対して共和党内では不満がくすぶるが、党支持層の8割が弾劾に反対するなど「党勢回復にはトランプ氏に頼らざるを得ない」との空気も漂う。「トランプ離れ」がどこまで広がるかは、まだ見通せない。

 「(トランプ氏が引き起こした)恐怖を打ち破る唯一の方法だ」。弾劾訴追決議案の採決に先立つ審議で共和党議員が賛成意見を述べると、民主党側から拍手が起きた。反対した共和党下院トップのマッカーシー院内総務も「トランプ氏は連邦議会議事堂襲撃の責任を負う立場にある」と批判の声を上げた。

 トランプ氏が昨年の弾劾裁判で無罪となった際は結束を誇った共和党。だが、昨年の大統領選や1月の上院選決選投票で、伝統的に強かった保守地盤の複数州で敗北を喫し、野党に転落。「トランプ氏は選挙に強い」との定評に大きな傷がついた。議事堂襲撃をあおったと厳しい批判にさらされる中、トランプ氏の支持離れが深刻化するとの見方もある。

 トランプ氏の個人的な人気を背景に「トランプ党」と化していた共和党内には、かねて重視する財政規律の姿勢に反するなど、トランプ氏の独善的な政権運営に不満がくすぶっていた。

 特に、古い政治の打破を唱えたトランプ氏から「エスタブリッシュメント(既存の支配層)」と批判されることもあった主流派が今後、党勢回復を図る上でトランプ氏を見切り、排斥に動く事態も予想される。

 ただ、13日の下院の決議案採決で賛成に回った共和党議員は10人。「造反は20人近く」との事前報道もあっただけに、小幅にとどまった印象は否めない。

 直近の世論調査で、トランプ氏の弾劾・罷免に賛成と答えた人は全体の54%に上ったが、共和党支持層に限ってみると反対が約80%を占めた。トランプ氏が一定の支持層をつなぎとめ、影響力を維持する展開もあり得る。トランプ氏の有罪を望む無党派層の男性(37)は「共和党議員の多くはトランプ氏支持者からの反発を怖がって行動できずにいる」と失望を隠さない。

 弾劾裁判の有罪評決には、定数100の上院のうち出席議員の3分の2の賛成が必要となる。現時点で共和党議員の数人が賛同の意向を示唆しているが、民主、共和両党の勢力が50対50で拮抗(きっこう)する中、有罪とするには共和党から17人程度の賛成が必要で、ハードルは高い。

 米メディアによると、トランプ氏との関係が悪化し、追放をもくろんでいるともささやかれる共和党上院トップのマコネル院内総務は13日、同僚議員らに対し、有罪票を投じるかどうか態度を保留した。

 今後、マコネル氏ら主流派と、なお忠誠を誓う議員を多数抱えるトランプ氏との権力闘争が顕在化するのは避けられそうにない。

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