なぜ?「ど派手」な北九州の成人式 「一生に一度目立ちたい」地道に働き費用は自分で

 新成人が派手な衣装を着るようになって久しい。中でも、北九州市の「ど派手ぶり」は有名だ。色とりどりの羽織はかまに、巨大なリーゼント、花魁(おいらん)風の和装…。いずれも準備に多くのお金と時間がかかりそう。一方で、「非常識」と顔をしかめる大人が少なくないのも事実だ。「どうして、ど派手な衣装を着るの?」。成人式の出席者に疑問を投げ掛けてみた。

 北九州市の成人式が開かれた10日、会場の北九州メディアドーム(小倉北区)を訪ねた。

 金や銀、赤など派手な色の羽織はかまを着て、頭の2倍はありそうな巨大なリーゼントの男性、虹色の振り袖や花魁風の着物姿の女性。自分の名前入りののぼり旗や傘を手にした新成人もいる。全体からすると一部ではあるが、確かに目立つ。

 記者は5年前に地元の静岡県で成人式に出席したが、そこでも派手な衣装の新成人は少なくなかった。北九州市の成人式を見て驚いたのは手の込んだ衣装の人が多いことだ。

 小倉北区の深島達弘さん(20)は、金色の刺しゅうが入った緑の羽織に赤いはかま姿。襟などにはふわふわの飾りが施されている。

 「今日を境にバリバリ仕事を頑張って、母親に親孝行したい」と力を込めた。中学時代、何度も補導され、その都度、母が頭を下げてくれたという。いまは防水工として働いている。「一軒家を建てて、母親には孫に囲まれながら楽しい老後を過ごさせてあげたい」

 小倉北区の貸衣装店「みやび」で衣装をレンタルした苅田町の荒山風也さん(20)は、銀色のはかまに天女のような羽衣、羽織は多数のスパンコールが輝いていた。

 背中には横2メートル、縦1・5メートルの翼を着け、まるで舞台衣装のよう。昨年成人式を迎えた先輩の衣装に憧れて以来、工場勤務に加えて、アルバイトをして連日働き、100万円以上の資金をためた。疲れた時は、先輩が着た翼つきの衣装の写真を見てモチベーションを高めたという。

 この日、成人式会場や「みやび」の周辺で約50人に話を聞いた。「トラブルになったらどうしよう」と一抹の不安を抱えてはいたが、多くが丁寧に答えてくれた。衣装代は10万円台から100万円超まで。ほぼ全員が仕事やアルバイトで地道にため、自分で工面したという。また、ほとんどの新成人が「一生に一度の成人式。誰よりも目立ちたい」と語ったのも印象的だった。

 北九州の成人式が派手になったきっかけは2003年頃、「みやび」が新成人の注文を受けて特別に作った衣装とされ、同店には北九州市外からの注文も少なくない。店には「常識外れじゃないか」といった“苦情”が年に数件ある一方で、「毎年楽しみにしている」という声も数多く届くという。

 池田雅店長は「成人式で派手な衣装を着ることが生きがいになっている子も少なくない。『ジェネレーションギャップ』を感じる人もいるだろうが、固定観念に縛られず、今を生きる若者の思いに、精いっぱい応えたい」と話した。

(笠原和香子)

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