宿泊療養なぜできない? 福岡で自宅待機が急増2451人

 新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない福岡県で、軽症や無症状者向けの宿泊療養ホテルに空室があるにもかかわらず、入れない感染者が急増している。県内の同ホテルの稼働率は15日現在、5割に満たない一方、自宅待機・療養者は2451人に上る。ホテルの消毒・清掃を1フロア単位で行っているのが要因だが、自宅療養では家族内感染のリスクが高まる上に、医師の目が届かず容体急変に対応できないケースもあるため、県は改善策を検討している。

 「全部屋数の5~6割が埋まると、(新たな入所を)断らざるを得ない」。福岡県の新型コロナ対策本部の宿泊療養施設班担当者は現状を打ち明ける。

 同県では「第3波」による感染拡大に伴い、昨年12月下旬から自宅での待機・療養者が増え始めた。同月30日には571人だったが、今月6日に千人を突破。そこから10日ほどでさらに倍になった計算だ。

 県は軽症・無症状者の療養先として福岡市や北九州市内などにホテル4カ所、計1057室を確保。しかし、稼働率は15日現在で46・6%。最も入所者が多かった今月1日でも57・4%(607人)にとどまるなど昨年12月下旬以降は50%前後で推移しているという。数字上はまだ余裕があるように見えるのに、このところ自宅待機が2千人を超す状況が続くのはなぜか。

 県は療養ホテルの運用に関して、消毒は同じフロアにある全部屋が空室になってから、清掃は消毒後24時間たってから実施している。感染者との接触による業者の感染リスクを減らすためで、作業も日中は入退所の手続きがあるため夜間などに限られる。結果、新規の療養者が入所するのに時間を要し、感染ペースに受け入れ態勢が追いつかないというわけだ。

   ◇    ◇ 

 消毒・清掃を部屋ごとに実施し、より多くの感染者を受け入れられる態勢づくりに取り組む自治体もある。佐賀県はフロアごとだった作業を今月から部屋単位で実施するよう変更した。

 福岡県では弁当や生活用品を廊下など共用スペースに用意し、感染者自らが取りに行く方法を取っているが、佐賀県はスタッフが各部屋のドア前に置き、感染者が部屋から出なくて済むようにしている。

 九州ではほかに熊本、大分、長崎の3県が、入所者が部屋から出る時間を限定するなど対策を講じた上で部屋ごとに消毒・清掃を行っている。

   ◇    ◇ 

 福岡県内の感染者の半数以上を占める福岡市では家庭内感染が増え、今月3~9日の1週間では感染場所判明分の7割近くを占めた。東京都や神奈川県では、自宅療養中に死亡するケースが出ている。

 県は近日中に宿泊療養先としてホテル1カ所を追加し、受け入れ者数の増加を図るほか、消毒・清掃の簡素化も検討。担当者は「新たな感染者が入る際はシーツ類の交換などにとどめることも選択肢の一つ。感染者を隔離し、家庭内感染や市中感染を何としても抑えなければならない」と危機感を口にする。

 佐賀県も230室ある宿泊施設の稼働率は15日現在約36%と余裕はあるが、県医務課は「感染者増を見据え、回転率を上げる必要がある」と話している。 (泉修平)

関連記事

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR