社会全体で支える仕組みを 高橋守雄氏

◆コロナとボランティア

 私が所長を務める「ひょうごボランタリープラザ」は1995年の阪神・淡路大震災(以下1・17)後に兵庫県がボランティアやNPOの支援拠点として開設した部門である。

 九州各地で甚大な被害をもたらした「令和2年7月豪雨」など近年各地で自然災害が頻発しているが、どんな災害でも被災者の支えとなるのがボランティアである。これまでに兵庫県から各地の地震や豪雨災害の被災地に多くのボランティアを派遣してきた。しかし、昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で派遣の断念を余儀なくされた。

 ここに興味ある数字がある。内閣府が行った2011年の東日本大震災(以下3・11)のボランティア数の減少要因の調査で、交通費や宿泊費が嵩(かさ)んで「行きたい気持ち」はあるが「行けない」と答えた人が全体の4割を超えた。

 そこで「ボランティア元年」の発祥地・兵庫から「支援する人を支援する社会」の構築を目指し14年に「3・11」の被災者と共に全国で署名活動を展開し、集まった35万の署名とともに国などに交通費・宿泊費支援の制度化を要望してきた。しかし、国の動きは鈍かった。

 危機感を覚えた兵庫県は「1・17」から25年を前に、大規模災害時に派遣するボランティア団体に交通費・宿泊費などを助成する恒久的な制度を19年、全国で初めて創設した。コロナのPCR検査費の助成にも適用していく。財源は「ふるさと納税」。

 災害時にボランティアが「いつでも」「どこにでも」行けるように普段から備えておこうとするものである。19年の「台風19号」に初適用して長野県などに53団体が支援に入った。さらに、兵庫県内が大規模災害に見舞われた際には県外ボランティアにも適用される。

 元々、全国的にボランティアは少子高齢化の影響で減少してきている。そこへコロナ禍である。もはや個人の善意にのみ頼る活動では今後は見通せない。今こそボランティアを社会全体で支える仕組みが必要となってきている。

 今後はこの制度を全国の自治体に波及させ、国に支援制度の法制化を引き続き要望していく。これこそ「1・17」から26年間、各地の災害にボランティアと共に向き合ってきた私の責務・使命であると思っている。

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 高橋 守雄(たかはし・もりお)ひょうごボランタリープラザ所長 兵庫県神河町出身。同県警から県庁へ出向し、阪神・淡路大震災では県災害対策本部で報道担当。2017年から現職。被災地へのボランティア派遣を続ける。

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