「子育てしやすい街」本当? 周知不足の解消を主婦ら訴え 北九州市

 北九州市は近年、「子育てしやすい街」を売りにしている。NPO法人の子育て支援ランキングで9年連続政令市トップに輝き、2019年の合計特殊出生率(1・52)は全国平均(1・36)を上回っている。市の子育て支援事業は一定の評価を得ているが、子育て世代に話を聞くと「近くにお産できる病院がない」「支援制度を知らない」など課題も見えてきた。

 戸畑区の主婦(33)は7月に第2子を出産する。妊婦健診で月に1度、1歳の息子を連れて近くの戸畑総合病院に通うが、出産は実家がある筑紫野市でする予定だ。

 同病院はお産を扱っていない。戸畑区では19年11月に産婦人科のクリニックが閉院して以降、市内7区で唯一、お産に対応できない状況が続いている。女性は出産ができる小倉北区の病院で健診を受けることも考えたが、子連れで通う負担を考慮し、諦めた。「お産もできる病院で健診を受けられれば、万が一の時も安心できた」と打ち明ける。

 市地域医療課によると、同様のケースでは担当医が妊婦に聞き取りなどした上で市内の医療機関を紹介している。担当者は「不安が解消できるよう、取り組みの周知に努める」と話す。

      ◆

 市全体でみると、周産期医療体制は充実している。子どもの急病を24時間体制で診察する病院が4カ所、リスクの高い出産に対応できる基幹病院も4カ所あり、男女共同参画社会を目指すNPO法人「エガリテ大手前」(東京)の19年度子育て支援ランキングでは「出産環境」「小児医療」で20政令市中トップ。総合順位では9年連続1位だ。

 市は11年度から待機児童ゼロ(年度当初時点)を達成してきたが、児童館や幼稚園の施設数、職員数などを勘案した「児童保育」は14位で課題を残している。

 子育て世代の市民はどう捉えているのか。男性市議2人が昨年12月、主婦ら10人を招いた意見交換会では「周知不足」の指摘が多かった。子ども3人を育てる八幡西区の女性(45)は「子ども向けのイベントやママ友サークルの情報がどこで得られるか分からない」。別の女性は「市政だよりは読まない。インターネットで情報が拾えるようにしてほしい」と訴えた。

 市議は「行政は仕組みを作るだけで満足していないか。広報力の弱さが課題」。別の市議は22日に告示される市議選(31日投開票)を見据え、「お母さんたち一人一人に声を傾け、要望を実現していきたい」と語った。 (岩谷瞬、野間あり葉)

関連記事

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR