コロナ対策、情報公開と市民の理解が鍵 台湾衛生相インタビュー

 新型コロナウイルス対策の成功例と注目される台湾で、感染対策の指揮を執っている陳時中・衛生福利部長(衛生相)が西日本新聞のオンライン取材に応じた。「感染対策は経済活動に優先する」との方針の下、迅速な初動と水際対策による「台湾方式」の封じ込めを実施したと強調。中国政府は強権的な手法で感染拡大を抑えたが、陳氏は情報公開で市民の理解を得ることが成功に不可欠との考えを示した。

 政府の新型コロナ対策を主導する「中央感染症指揮センター」の指揮官を兼ねる陳氏が外国メディアの単独取材に応じるのは異例。

 台湾には約2350万人が暮らすが、感染者数は17日現在累計855人で、死者は7人にとどまっている。陳氏は対策成功の主因として「いち早く警鐘を鳴らし、迅速に水際対策を実施したこと」を挙げた。台湾政府は2019年12月末、中国大陸で感染情報をつかむとすぐに武漢からの直行便の乗客への検疫を始めた。20年2月初めには中国人の入境を全面禁止にした。

 中国大陸では全市民対象のPCR検査を実施する地方政府が相次いだが、台湾政府は症状のある人を入院させ、感染疑いのある人には14日間の隔離を徹底した。陳氏は「台湾は検査より隔離を重視している。検査をしても偽陰性のまま市中に入ってくる恐れがあるからだ」と説明した。

 日本などは経済への影響を懸念して厳しい防疫措置に二の足を踏むが、「防疫ができなければ経済も成り立たない」と感染対策最優先の姿勢を強調。台湾内で新規感染者が出なくなるとすぐに経済活動への規制緩和を求める声が高まった。それでも8週間連続で感染者ゼロとなるまで緩和せず、推移を見守ったという。

 陳氏が封じ込め成功のもう一つの鍵として挙げたのが「公開と透明化」だ。デマや噂で混乱が広がらないよう、陳氏が連日記者会見に臨み、感染情報や防疫措置の細かい質問に答え続けた。「発生当初、国民は不安を抱いていた。この不安を減らさない限り全ての政策は行き渡らず効率は上がらない。規制や罰則だけでなく、国民が手を携えて団結することが最も重要だ」

 陳氏は「台湾が持つ防疫上の豊富な経験は、世界各国と共有することができる」として、世界保健機関(WHO)への台湾の参加を求めた。(久永健志)

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 1977年、台北医学院(現台北医科大)歯学部の学士課程を終えた歯科医出身の政治家。2017年2月から、蔡英文政権で衛生福利部長。政府の新型コロナウイルス対策を主導する「中央感染症指揮センター」の指揮官を兼ねる。徹底したコロナ対策と、その働きぶりから「鉄人部長」とも称され、高く支持されている。67歳。

 

 

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