人口減少対策“待ったなし”魅力的な街に 佐賀・唐津市

12万都市の進路 唐津市長選・市議選(1)

 「昔はこの地区にも30軒ぐらい商店があったが、今は4軒だけ。車を持っていない人は満足に買い物もできん」。佐賀県唐津市肥前町高串区の武田良徳区長(73)はため息をついた。主力産業だった漁業の不振もあり、2005年に1300人を超えていた高串区の人口は今年1月、908人にまで落ち込んだ。

 「仕事がないから、若者はみんな出ていく」と武田さん。明治時代にこの地域でコレラ撲滅に尽力した増田敬太郎巡査を敬う住民は毎年、夏祭りで巡査の山車を引いて地域を練り歩く。「山車を引く人も少なくなった。このままでは祭りも維持できなくなる」。武田さんの悩みは深い。

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 市の人口は昨年12月、11万9954人となり、05、06年の市町村合併後初めて12万人を切った。約15年間で1万5千人以上減少し、市の推計では65年に5万8761人とほぼ半減する見通し。人口減少対策は待ったなしの課題だ。

 一方で、唐津に魅力を感じ、移り住む人もいる。昨年12月まで札幌市で暮らしていた鈴木敏明さん(66)もその一人。「温暖な場所に住みたい」という妻有子さん(66)の願いから九州各地を旅行し、候補地を探した。知人の勧めで唐津を訪れ「野菜も魚も酒もおいしい」と引かれた。最長1カ月、市内に居住する市の「お試し移住」を体験し「唐津は人も良いし、相性が良い」と移住を決めた。

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 市によると、お試し移住などの支援を受けて移住した人は、16年度からの4年間で51世帯95人。移住は企業誘致や、婚活を後押しする出会い応援などと並ぶ人口減対策の大きな柱となっている。

 市から移住促進事業を受託しているNPO法人「ネットワークステーションまつろ」によると、近年の移住者は20~40代が7割超。新型コロナウイルスの感染者が多い首都圏からの相談が増えているという。「唐津は海も山もあり、福岡市にも近い。多様性が移住者を受け入れるポテンシャルになっている」。担当の三笠旬太さん(33)は話す。

 とはいえ、市の推計では転出者が転入者を上回る社会減は当面、年300人以上のペースで続く見込み。移住者を増やすだけでは人口減に歯止めがかからないのも現実だ。三笠さんは「街が魅力的だと、移住したいと思う人の数が自然に増える。街自体の魅力を高め、発信する取り組みも大切だ」と強調した。 (野村創)

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 唐津市長選、市議選が24日に告示、31日に投開票される。市政の課題を追いながら、約12万人の人口を抱える県内第2の都市の針路を探った。

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