農水産物が豊富な唐津、ふるさと納税も好調 課題は1次産業担い手確保

12万都市の進路 唐津市長選・市議選(2)

 佐賀県内に雪が降り積もった今月8日。黒毛和牛の子牛の初競りがあった多久市のJAさが畜産センターで、中山英一さん(51)=唐津市=が真剣な表情で品定めをしていた。中山さんは子牛を買って肉牛に育てる肥育農家。約230頭の牛を所有している。

 和牛の枝肉相場は昨年4月以降、新型コロナウイルス感染拡大による外食産業の不振などを背景に下落した。その後、和牛を使った学校給食を支援する国の事業も始まり、10月以降は価格が持ち直している。

 それでも中山さんの表情はさえない。「子牛が高騰し、えさ代も上がった。経営が苦しい状態は変わらない」。新型コロナの緊急事態宣言が11都府県に出されたことも不安材料だ。

 唐津市と玄海町を管轄するJAからつによると、唐津玄海地区の2019年度の黒毛和牛販売額は71億5千万円。県内JAグループ全体の販売額の45%を占める。一方、肥育農家の高齢化に伴い、肥育頭数はピーク時の約1万2千頭から8千頭台まで減った。

 「もう少しブランド力が強くなれば、枝肉の価格も上がる。そうすれば農家のやる気につながり、参入者も増える」。中山さんは肥育農家や肥育頭数を減らさないためにも、利益が出る仕組みが必要と考える。

   ◇    ◇

 「唐津は海の幸も山の幸も豊富で、全国の人から選んでもらえている」。市からつブランド・ふるさと寄付推進室の坂本良作係長(45)は、ふるさと納税の伸びを率直に喜んだ。

 本年度の市のふるさと納税額は既に40億円を突破。19年度の34億9千万円を超え、過去最多だった17年度の43億8千万円も上回る勢いだ。先導するのは返礼品の農林水産物。佐賀牛のハンバーグ、イチゴやナシといった果物、干物、塩サバなどが人気上位を占める。

 実際、唐津には佐賀牛以外にも全国的に有名な農林水産物が少なくない。

 JAからつによると、管内はハウスミカンの全国一の産地。19年度の販売額は38億900万円に上り、県内JAグループの9割を占める。イチゴの販売額も県内の約4割の35億2千万円と好調だ。

 ただ担い手の高齢化やコロナ禍といった逆風もある農林水産業。唐津の基幹産業の足腰をどう強化し、ブランド力を高めていくか-。「後継者が育っている作物は発展している。行政には若い人がやりたくなる農業を後押ししてほしい」。堤武彦組合長(69)は期待を込めた。

 (野村創)

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