旧伝右衛門邸を3Dで見学 施設内外の画像をHPに 飯塚市歴史資料館

 福岡県飯塚市幸袋の国指定重要文化財「旧伊藤伝右衛門邸」の邸宅と庭園の3D(3次元)画像を、市歴史資料館がホームページ上に公開している。パソコンやタブレット端末の画面上をクリックしながら、施設内を歩いているような感覚で見ることができる。市教育委員会は3D画像を入り口に、手軽に魅力を知ってもらうことで誘客につなげたい考えだ。

 旧伊藤邸は「筑豊の炭鉱王」と呼ばれた伊藤伝右衛門(1860~1947)が建てた豪邸。明治後期に造られ始め、昭和初期まで増改築を重ねて現在の姿になった。伝右衛門が妻に迎えた歌人・柳原白蓮(1885~1967)が1911年から約10年間過ごしたことでも知られる。

 所々に洋風デザインを組み合わせた内装や変化に富んだ庭園からの外観が特長で、優れた住宅建築として昨年12月、主屋や蔵などの邸宅部分が「旧伊藤家住宅」の名称で国の重文に指定された。庭園は2011年に国の名勝になった。

 3D画像は、国の文化審議会が重文指定の答申をした昨年10月から歴史資料館が公開。邸宅や庭園の全体図から好きな箇所をクリックして、そこに立った際の視界を360度見渡すことができる。

 主屋の応接室や書斎、2階座敷の庭園側窓沿いなど、現地では立ち入りが制限されている区画でも“入室”が可能に。応接室の暖炉のそばに立ち、英国風の装飾をじっくり観察するなどの特別感も味わえる。

 「九州初」とされる水洗トイレなど、見どころの前にはその価値や由来についての解説文が付く。文には英語、中国語、韓国語の翻訳版もある。

 旧伊藤邸は近年、誘客が課題となっている。伝右衛門と白蓮をモデルにした人物が登場したNHK連続テレビ小説「花子とアン」放映時の14年度は来場者が約31万人いたが、19年度は約4万3千人まで減った。市教委は新型コロナウイルス禍の中でも、国重文指定を追い風に貴重な邸宅の知名度を高めるためのツールとして、3D画像を有効活用したい考え。現在、会員制交流サイト(SNS)での発信用に、3D画像の魅力を伝える30秒程度のショートムービーを作成している。

 公開開始から今月17日までの3D画像へのアクセス数は約4千件。市教委の仲村慎太郎学芸員は「実際に邸内の畳の上に立ってみたい、と興味を持ってもらえればありがたい」と話している。

 (坂本公司)

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