カフカではなく一茶の施策を

 きょうは大寒。寒さが厳しく「冷ゆることの至りて甚だしきとき」とされる。そんな時季はあったかい鍋物やおでんが恋しい。熱燗(あつかん)が付けばなお良し

▼加藤楸邨の有名な句に<カフカ去れ一茶は来れおでん酒>。おでんをつつきながら一杯やるときは、不条理や絶望を語るカフカより庶民的で温かみのある小林一茶がいい

▼この人も「冷ゆることの甚だし」と感じていよう。新型コロナ対策が批判され、支持率が急落した菅義偉首相だ。先日の施政方針演説では、十八番(おはこ)の「経済との両立」を封印し、コロナ対策最優先の姿勢に。税金で旅行や外食を奨励しながら感染を抑えるという不条理にやっと気付いたか

▼今や、医療体制が逼迫(ひっぱく)して入院したくてもできない。再度の緊急事態宣言で、外出自粛や飲食店の時短営業に逆戻り。この一年、政府は何をしていたのか。失政の反省がないばかりか、法改正を強行し言うことを聞かない人や店に「罰則を科す」と

▼感染におびえる高齢者や持病のある人、収入減や失業で困窮する人たちの絶望感は募るばかり。カフカ去れ、庶民に優しい一茶のような施策来れ-。それが切なる願いだ

▼一茶に<梅咲けど鶯(うぐいす)鳴けど一人かな>の句。外出を控え一人で家にこもる人も少なくなかろう。梅や鶯の頃には自由に外出でき、仲間とも一杯やれるよう、感染対策の「最前線に立つ」と宣言した首相は今度こそ行動で示してほしい。

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