阿蘇火山博物館に普及啓発賞 日本火山学会評価、防災教育にも力

 阿蘇火山博物館(熊本県阿蘇市)が本年度の日本火山学会普及啓発賞を受賞した。阿蘇山上の草千里ヶ浜にあり、趣向を凝らした館内展示に加え、「楽しく、分かりやすく」をモットーに、周辺の自然も生かした体験学習の取り組みが評価された。

 博物館は1982年に開館。阿蘇火山の成り立ちを音声と動きで解説する模型は、映画「ゴジラ」の特撮スタッフらが作製し、当初は年間60万人が来館した。

 鹿児島大で火山地質学を学んだ池辺伸一郎館長(64)=熊本市出身=は、東京の地質調査会社に勤務後、84年から博物館に勤務。中岳では79年の爆発的噴火以降、断続的に活動が続き、火口見学ができない観光客らが来館していたが、噴火活動の沈静化に伴い、徐々に来館者は減少し始めた。

 そこで池辺さんらが始めたのが、修学旅行の小中高校生らと一緒に裏手の杵島岳に登る「フィールド学習」。館外の地形や景観も生かした「丸ごと博物館構想」の先取りで「登山中にはいろんな気づきがあり、頂上で子どもたちの表情はがらりと変わった」という。

 小麦粉と風船を使い、カルデラ(火山陥没地形)誕生のメカニズムを知ってもらう手作り実験なども同僚らと考案。ジオパークガイドらの協力も得て、学びの裾野を広げてきた。

 2016年の熊本地震後は、防災教育にも力を入れる。海外からの観光客も増え、観光復興へ進んでいたが、昨年春からの新型コロナウイルスの流行で苦戦を強いられ、県独自の緊急事態宣言を受けて2月7日まで再び休館に入った。

 博物館は全国でも珍しい高感度火口カメラを保有。中岳火口底の様子がリアルタイムで分かり、館内には観光客が自由に操作できるコーナーもある。

 池辺さんは「今後も阿蘇をより興味深く学ぶための拠点として工夫し、運営していきたい」と話した。

(佐藤倫之)

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