「声を、見せて。」 マスクが聴覚障害者の妨げに

 「声を、見せて。」。耳の不自由な人を支援するNPO法人「サイレントボイス」(大阪市)が呼び掛けている。新型コロナの感染拡大を防ぐマスクが、口の動きや顔の表情を見ながら相手の意図を読み取る聴覚障害者の妨げとなっているからだ

▼コンビニで店員の言っていることが分からない。マスクを下ろしてと頼んでも伝わらず、仕方なく適当にうなずいたらレジ袋の代金を取られた-。本紙北九州版に載った耳の不自由な人の体験だ

▼「感染拡大防止にマスクは必要だし、やめてほしいとは言えない。どうしていいか…」。そんな現実に苦悩する人たちがいる

▼聴覚障害者が頼りとする手話にもコロナの影響が。昨年は厚生労働省公認の手話通訳士試験が中止に。養成講習会も各地で中止や縮小が相次いでいる。コミュニケーションの担い手が不足しないか心配だ

▼サイレントボイスは声が「見える」ようにと、口元が見える透明マスクを1万人に無料で配る活動を進めてきた。昨年12月は「爆音コンビニ」というイベントも開催。店内に大音量の音楽を流し「声」による意思疎通ができないようにした。聴覚障害者が日常的に体験している世界を広く知ってもらおうという試みだ

▼「マスクは言語の一部を封じることになる」(京築手話協会の東淳之理事長)。マスクを外しにくいときは筆談でも。コロナ禍を共に生きるために「優しさも、見せて。」。

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