日本不在の核禁止条約発効 非保有国、軍縮圧力強化へ

 【ワシントン田中伸幸】核兵器を非合法化する史上初の国際法規、核兵器禁止条約が22日発効した。核兵器による惨禍が二度と繰り返されないよう訴えてきた広島、長崎の被爆者の悲願が結実した形。ただ米国、ロシアなど全ての核保有国のほか、米国の「核の傘」に依存する日本や韓国は参加せず、実効性には課題が残る。条約発効を機に核保有国への軍縮圧力が強まり「核なき世界」に向けて前進できるかが注目される。

 条約は核兵器の使用だけでなく、開発や実験、保有、移譲も禁止。「使用するという威嚇」まで禁じることで核抑止力を否定した。核兵器の使用や核実験で被害を受けた人への支援も盛り込んだ。核兵器の非人道性を示す観点から、前文には「核兵器使用の被害者(ヒバクシャ)が被った受け入れ難い苦しみと被害に留意する」と明記した。

 2017年7月、国連で122カ国・地域の賛成で採択。昨年10月に批准した国・地域が発効に必要な50に達し、90日後の発効が決まった。発効した22日時点の批准数は51。発効後、1年以内に開かれる第1回締約国会議は今年末にも、オーストリアで開催が予定される。唯一の被爆国である日本のオブザーバー参加を求める意見も出ている。

 締約国でなければ条約の法的義務に従う必要はなく、核保有国が不参加の現状では核廃絶に向けた実効性は乏しい。しかし、対立を深め軍備増強を進める米ロ中など核保有国に批判的な国際世論は年々高まっている。核禁止条約の締約国は8月に開催予定の核拡散防止条約(NPT)再検討会議などで核保有国に対し、停滞している核軍縮の進展を求める構えだ。

 米国では20日、核軍縮に関心が高いバイデン政権が発足。21日には2月に期限が切れるロシアとの新戦略兵器削減条約(新START)について5年間の延長を目指す方針を表明した。しかし、米国内では核禁止条約に否定的な見方が根強く、バイデン氏は対応を明らかにしていない。

 日本も中国や北朝鮮など安全保障環境の厳しさから条約には参加しない方針。菅義偉首相は22日「署名する考えはない」と述べ、締約国会議のオブザーバー参加にも慎重姿勢を示した。

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