福岡女子商高「創立以来の快挙」 国公立大に11人合格

 福岡女子商業高(那珂川市)の3年生11人が長崎大など国公立大の学校推薦型選抜入試に合格した。同校卒業後の進路はこれまで地元就職が半数以上を占め、国公立大への進学はわずか。本年度、急増したことに「偏差値教育」からの転換を目指す柴田晴夫校長も「創立以来の快挙」と驚く。高校受験に失敗するなどの経験から大学進学を諦めていた生徒たちは、新聞を活用した小論文対策に取り組み、喜びの春をつかんだ。

 同校は1950年創立で64年に旧那珂川町立の商業高になった。私立校になった2017年以降も、総合ビジネス科(特進、商業実践コース)と情報ビジネス科で1学年約230人が普通教科のほかに簿記や情報処理、ビジネスマナーなどを学ぶ。

 19年度までは半数以上が地元企業に就職。四年制大学への進学は20人ほどで、このうち国公立大への進学は15年度は2人、16~18年度は1人ずつ、19年度はいなかった。

 ところが、本年度は長崎大に8人、佐賀大、大分大、山口大、和歌山大、北九州市立大に1人ずつが合格。うち2人は長崎大と他1校のダブル合格を果たした。学校推薦型選抜入試は日商簿記検定取得など大学ごとに異なる条件を満たし、校長の推薦が必要。提出書類や面接、小論文で基礎的な知識や学習意欲の高さが問われる。

 少子化や商業高離れに悩む同校は、本年度から進学希望者のために小論文対策の課外授業を本格化。学校側の呼び掛けに応じた25人が、まずは読解力を高めるために新聞記事や新刊本の要約に取り組んだ。新聞や雑誌を読み込み、気になる記事の切り抜きも始めた。

 「日米関係」「貧困」「プラスチックごみ」…。項目別にまとめた生徒たちのファイルは日増しに分厚くなった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休校が明けてからは討論会も実施。より深く社会問題に迫ろうと専門書も開いた。休日返上で、「自分で調べ、理解し、自分の考えを文章にまとめる」ことを半年間重ね、論理的な思考力や作文力を磨いたという。

 添削指導に当たったのは昨春赴任したばかりの国語の柴山翔太教諭(30)。「小論文を教え込むことは難しい。最初は要約すらできなかったが、自分たちで調べ始めたときに手応えを感じた」という。国公立大への進学者急増について、柴田校長は「大学側の選抜入試枠の拡大や奨学金制度の充実」も挙げた上で、「詰め込み式の教育ではこれからの時代は通用しない。部活動や学校行事なども通じて自分で考える主体性を育みながら、やる気を引き出したい」と意気込む。

 入学当初は就職希望だった生徒(18)は「身近な社会問題を学ぶのは面白かった。自分から勉強する姿に親も驚いていた」と笑顔。この春、「子どもの貧困をなくすため」に長崎大経済学部で学び始める。 (上野洋光)

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